研究課題
プロリン異性化酵素は、プロリンとそのN端側のアミノ酸と間のペプチド結合をcis体からtrans体に変化させることで標的タンパクの機能変化を誘導するユニークな酵素である。しかし、プロリンの構造変化を検出する方法が確立していないため、この研究分野は遅れており、未知の部分が多く残されていた。我々は、Pin1がインスリン受容体基質(IRS)-1に結合することでインスリンシグナルが促進されることや、脂肪細胞への分化に必須であることを報告した。また、Pin1は、転写因子CREBのco-activatorであるCRTCに結合し細胞質に留めることで、肝臓からの糖新生を抑制することも報告した。さらに、Pin1はAMPKのγサブユニットに結合し、AMPK活性化抑制から脂肪分解を抑制することも判明した(以上は報告済み)。また、最近、我々は、Pin1が、転写共役因子PRDM16に結合し分解を促進することで脂肪細胞におけるUCP1発現を抑制することを見出している(投稿準備中)。すなわち、高脂肪食によるPin1の発現量の増加は熱産生を減少させ、ますます肥満しやすくなるメカニズムの一端が明らかになってきた。一方、Pin1はNF-κBの転写活性を上昇させ、炎症性サイトカインの発現量を増加させる。以上の結果から、過栄養状態で増加したPin1は多様な標的タンパクと相互作用し、全身レベルでの代謝異常や慢性炎症の発症に寄与することが判明した。以上より、Pin1を阻害することで、メタボリックシンドローム、特に、非アルコール性脂肪性肝炎の治療につなげれる可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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