研究課題
本申請においては、糖尿病状態におけるオートファジー機構の調節異常が、膵β細胞、平滑筋細胞の機能変容を介して、病態形成に大きく関与していると仮説を立てた。これを検証する目的で以下の5つの具体的課題を解明する。(1) hIAPPノックインマウスにおいて、膵β細胞のオートファジー活性を低下させた際のhIAPPの細胞毒性に与える影響とそのメカニズムを検討する。(2)糖尿病モデルdb/dbマウスの膵β細胞においてAtg5を過剰に発現させることにより、耐糖能が改善できるのかを検討する。(3)内膜障害後の平滑筋細胞増殖におけるオートファジーの役割を平滑筋特異的Atg7欠損マウスの大腿動脈wire傷害モデルを用いて検討する。(4) プラークに存在する血管平滑筋細胞のオートファジーの役割を平滑筋特異的Atg7欠損マウスとApoE欠損マウスを交配させたダブル欠損マウスにて検討する。(5) 動脈中膜の石灰化に関して、平滑筋特異的Atg7欠損マウスに高リン食+Calcitoriolを負荷することにより検討する。
2: おおむね順調に進展している
上記、具体的5つの課題のうち、(1) 膵β細胞のオートファジー活性とhIAPPの細胞毒性の関係に関する検討に関しては、ほぼ、計画通り、実験をおこない、hIAPPの毒性解除にオートファジー機構が必要であり、hIAPP発現下にオートファジー機構が減弱すると膵β細胞毒性が悪化することを世界に先駆けて報告した。(2)糖尿病モデルdb/dbマウスの膵β細胞においてAtg5を過剰に発現させることにより、耐糖能が改善できるか否かの検討に関しては、Atg5強発現モデルでは膵β細胞オートファジー機構の活性化を誘導できないことが明らかとなり、現在膵β細胞特異的Rubiconノックアウトマウスを作製し、それにdb/dbマウスを掛け合わす系の確立を行っている。(3)内膜障害後の平滑筋細胞増殖におけるオートファジーの役割を平滑筋特異的Atg7欠損マウスの大腿動脈wire傷害モデルを用いて検討するプロジェクトに関しては、マウスを作製しWire傷害モデルを作成したが、明確な差を認めなかった。一方、(4) プラークに存在する血管平滑筋細胞のオートファジーの役割を平滑筋特異的Atg7欠損マウスとApoE欠損マウスを交配させたダブル欠損マウスにて検討するプロジェクトに関しては、。ApoEノックアウトマウスで動脈硬化の進展、大動脈瘤形成のphenotypeを認めており、本年度、継続して検討を行い、成果を報告する予定である。(5) 動脈中膜の石灰化に関して、平滑筋特異的Atg7欠損マウスに高リン食+Calcitoriolを負荷することにより検討するプロジェクトに関しても、現在、順調に研究が進められており、本年度中に成果が報告できると考えられる。
上記、具体的5つの課題のうち、(1) 膵β細胞のオートファジー活性とhIAPPの細胞毒性の関係に関する検討に関しては、ほぼ、計画通り、実験をおこない、hIAPPの毒性解除にオートファジー機構が必要であり、hIAPP発現下にオートファジー機構が減弱すると膵β細胞毒性が悪化することを世界に先駆けて報告した。(2)糖尿病モデルdb/dbマウスの膵β細胞においてAtg5を過剰に発現させることにより、耐糖能が改善できるか否かの検討に関しては、Atg5強発現モデルでは膵β細胞オートファジー機構の活性化を誘導できないことが明らかとなり、現在膵β細胞特異的Rubiconノックアウトマウスを作製し、それにdb/dbマウスを掛け合わす系の確立を行っている。本年度には、掛け合わせを終了し、膵β細胞のオートファジー促進が膵β細胞保護効果を持つかどうかに関して一定の見解を出せると思われる。(3)内膜障害後の平滑筋細胞増殖におけるオートファジーの役割を平滑筋特異的Atg7欠損マウスの大腿動脈wire傷害モデルを用いて検討するプロジェクトに関しては、マウスを作製しWire傷害モデルを作成したが、明確な差を認めなかったため、これ以上の検討は行わす。一方、(4) プラークに存在する血管平滑筋細胞のオートファジーの役割を平滑筋特異的Atg7欠損マウスとApoE欠損マウスを交配させたダブル欠損マウスにて検討するプロジェクトに関しては、。Atg7ノックアウトマウスで動脈硬化の進展、大動脈瘤形成のphenotypeを認めている。本年度は、このメカニズムの解明を目指して、検討する。特にオートファジーと細胞死の関連に関して検討する(5) 動脈中膜の石灰化に関して、平滑筋特異的Atg7欠損マウスに高リン食+Calcitoriolを負荷することにより検討するプロジェクトに関しても、実験に供するマウス数を増やし、Atg7ノックアウトマウスとコントロールマウスとの表現系を比べることで、検討する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件)
Autophagy
巻: 12 ページ: 1-222
Mol Endocrinol
巻: 29 ページ: 338-48
10.1210/me.2014-1367