研究課題
臨床サンプルを対象に、次世代シークエンサーを用いた既知疾患責任遺伝子と候補遺伝子の網羅的変異スクリーニング、アレイcomparative genomic hybridizationを用いた全ゲノムコピー数解析、バイロシークエンスを用いた包括的メチル化解析やマイクロサテライト解析などを行った。本年度の代表的成果は下記のとおりである。(i) 原因不明の46,XX 性分化疾患患者の全エクソーム解析によって、血縁関係のない2例にNR5A1遺伝子の同一ミスセンス変異p.R92Wを同定した。さらにin vitro発現実験によってこのNR5A1変異体がNR0B1による抑制を逃れることで未分化性腺におけるSOX9過剰発現を招く可能性を見出した。本研究により、単一遺伝子ミスセンス変異が遺伝的女性における精巣形成を招きうることが初めて明らかとなった。(ii)合併症のない思春期早発症を呈する男児1例でNR0B1フレームシフト変異を同定した。この成績は、NR0B1のN末端欠失変異タンパクが、副腎機能低下を伴わない性早熟を招く可能性を示唆する。変異陽性患者では、ゴナドトロピン依存性および非依存性に性早熟が生じると推測される。(iii) 思春期遅発症を呈する男性患者でKAL1 遺伝子を包含するXp22.31 領域の染色体微細欠失を同定した。切断点の構造解析によって、このようなゲノム微細構造異常がmicrohomology-mediated break-induced replicationの機序で生じること、および隣接遺伝子欠失症候群の1症状としてのゴナドトロピン欠損症を招くことを見出した。(iv) 明らかな眼球形成異常のないゴナドトロピン欠損症患者でSOX2変異を同定した。これにより、SOX2異常症の新規表現型スペクトラムが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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