研究課題/領域番号 |
26293234
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三宅 幸子 順天堂大学, 医学部, 教授 (50266045)
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研究分担者 |
千葉 麻子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40532726)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫学 |
研究実績の概要 |
自己反応性T細胞の腸管での制御について研究を行った。髄鞘蛋白であるMOGに特異的に反応するT細胞受容体のトランスジェニックマウス(2D2)における腸管在住の2D2-IELと、膵島抗原に特異的に反応するT細胞受容体のトランスジェニックマウス(KRN)の腸管在住のKRN-IELを用いて、in vitroにおいてエフェクターT細胞の増殖を抑制することを明らかにした。2D2-IELを分離し、マウスに移入後に実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導すると、病態が軽減した。In vitroにおけるエフェクターT細胞の増殖抑制実験において、抗LAG3抗体、抗TGFβ抗体、抗CTLA4抗体は2D2-IELによる増殖抑制を阻害したが、抗IL-10抗体は阻害しなかったことから、LAG3、TGFβ、CTLA4が 2D2-IELによる抑制に関与すると考えらえた。中枢神経内に2D2-IELの浸潤がみられ、浸潤した細胞では腸管の2D2-IELに比較して、LAG3の発現が上昇していた。EAEにおいて2D2-IELと抗LAG3抗体を同時に投与すると、2D2-IELによる病態抑制がみられなかったことから、in vivoにおいても2D2-IEL による病態抑制にLAG3が重要であることが明らかとなった。 自然リンパ球については、MAIT細胞は関節リウマチ(RA)や強直性脊椎炎(AS)などの関節炎、潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患、SLEの血中で減少していることが明らかとなった。SLEではMAIT細胞の細胞死が亢進していたが、RA, AS, UCでは細胞死の亢進はみられず、異なる機序で病態に関与していることが示唆された。Group 1,2,3 ILCについては、SLE患者の末梢血における頻度を解析したが、頻度に有意差を認めなかった。 自己免疫疾患患者における腸内細菌の解析については、検体収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己反応性T細胞の腸管での制御に関する研究は目標を十分達成した。 自己免疫疾患における自然リンパ球の解析は、予定通り行った。 腸内細菌の解析については、検体収集中であり、やや遅れているが引き続き検体収取を行う。 以上より、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
自己反応性T細胞の腸管での制御については、2D2-IELが腸管でどのように病態抑制のフェノタイプを獲得するかについて、検討を続ける。昨年までの研究で、MAIT細胞は関節リウマチ(RA)や強直性脊椎炎(AS)などの関節炎、潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患、SLEの血中で減少していることが明らかとなった。SLEではMAIT細胞の細胞死が亢進していたが、RA, AS, UCでは細胞死の亢進はみられず、異なる機序で病態に関与していることが示唆された。27年度は、これらの疾患におけるMAIT細胞の関与を明らかにするため、MAIT細胞を刺激または阻害するリガンドを用いて、これらの疾患の動物モデルに投与しその効果を検討する。また臨床検体については疾患活動性との相関や、組織浸潤について引き続き検討する。 腸内細菌解析については、多発性硬化症において特定の腸内細菌が減少することが明らかとなっているので、それらの腸内細菌の代謝産物が病態に関与する可能性について関節炎モデル、実験的自己免疫性脊髄炎モデルについて検討する。関節リウマチ、SLEにおける腸内細菌叢解析については、引き続き検体収集を続け解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
腸内細菌解析について、まだ検体収集中であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
収集した検体についての解析を行う。
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