研究課題
平成28年度の研究実績の概要は以下のとおりである。1)TCRは抗体と同様にMHC/ペプチドの形で抗原(ペプチド)に特異的に反応するが、抗体と異なり膜型蛋白であるために、T細胞に発現させる形でしか扱うことができない。それを可溶化型にすることでモノクローナル抗体と同様に、病変部位の検出やがん治療に応用できる可能性がある。しかし、可溶性型TCRを作成する場合、TCRベクターを大腸菌で発現させると構造が不安定になることが指摘されている。そこで、2種類のsTCR(V領域とC領域を含む2量体)とscFv-TCR(単鎖可変領域からなる1量体)のTCR遺伝子を構築した。この遺伝子をCHO細胞に発現させ、安定化した可溶化TCRを得ることができた。さらに、可溶性TCRを、ビオチンを用いてマルチマー化(4量化)することで、より安定した高親和性の可溶化TCRを得ることができた。2)日本脳炎ウイルス(JEV)に近縁のウエストナイルウイルス(WNV)は、高齢者層を中心に致死性の脳炎・髄膜炎を惹き起こす蚊媒介性のヒト感染性ウイルスであり、本邦にも普遍的に存在する自然宿主(鳥・蚊)と国際間の交通事情によりウイルス侵入の危険は常在しており、また今後の高齢化を鑑みれば、その感染症対策は急務である。これまでに、日本脳炎ワクチン接種によって獲得されるウエストナイルウイルスに対する交差中和抗体ができる可能性が示唆されている。そこで、本研究では、日本脳炎ワクチン接種後約1ヶ月後の血液から、ヒト抗ウエストナイルウイルスモノクローナル抗体およびウイルス特異的TCRを4個樹立した。これらの抗体のウエストナイルウイルス感染に対する予防・治療効果を、マウスを使った動物実験で確認した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 7件、 招待講演 2件)
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