研究実績の概要 |
平成27年度の成果を基に設計されたGRL-057, GRL-058及びKU-241の誘導体 (GRL-010, GRL-014, GRL-121, GRL-001 & GRL-003 etc.) の抗HIV-1活性の測定及び結晶構造解析、熱安定性試験等を行った。GRL-010, GRL-014は、GRL-057, GRL-058の誘導体であり、HIV-1野生株 (HIVWT) 及びdarunavir耐性HIV-1変異株 (HIVDRVRs) に対してIC50値が10-11~10-8 Mの範囲で阻害効果を発揮、特にHIVWTに対してはGRL-057, GRL-058に匹敵する活性を有する事が明らかとなった。更に、GRL-121, GRL-001, GRL-002, GRL-003及びGRL-004は、KU-241の誘導体として設計した化合物であり、抗HIV活性測定の結果、GRL-121, GRL-001と GRL-003は、HIVWTに対してKU-241に匹敵する化合物である事が明らかとなった (Ghosh & Mitsuya, J Med Chem. in press)。一方で、HIVDRVRsに対してはIC50値が2×10-8 M~4×10-8 Mで阻害活性を示すものの、HIVWTに対する活性に比して約1000倍の活性低下が確認された。既に、GRL-121, GRL-001及びGRL-003に関しては結晶構造解析を終えており、HIVDRVRsに対する活性低下の原因が、フッ素の位置及び数を変化させた事によるハロゲン結合及びファンデルワールス相互作用の減少に起因する事を明らかにした。GRL-057, GRL-058, GRL-010及びGRL-014に関しては、PRとの複合体を作成し、現在結晶化を行っているところである。
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