本研究では、細胞傷害性T細胞(CTL)の認識を障害するHIV-1の変異が、どのように病態進行に影響を与えるかを明らかにした。HIV-1感染者430名の解析から、CTLの認識に影響を与えている可能性がある283の変異を同定した。その内、HLA-B52/C12に相関した5つのPOL領域の変異は、HIV-1の増殖力を低下させ、4つのエピトープを認識するCTLにより選択されことを明らかにした。HLA-B52/C12を持った患者では、CTLによるHIV-1の増殖の抑制だけでなく、逃避変異が選択された場合でも、ウイルス増殖そのものが低下し、これによりエイズへの進行が遅れると考えられた。
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