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2015 年度 実績報告書

RAS/MAPK症候群の原因・病態の解明とその治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 26293241
研究機関東北大学

研究代表者

青木 洋子  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80332500)

研究分担者 松原 洋一  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 研究所, 研究所長 (00209602)
新堀 哲也  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40436134)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードヌーナン症候群 / RAS / 肥大型心筋症
研究実績の概要

1)新規原因遺伝子RIT1変異患者の臨床像の確立:RIT1遺伝子変異陽性者の詳細な臨床症状の検討を行なった。これまでの遺伝子診断で変異が同定されなかった患者186人についてRIT1遺伝子解析を行ったところ14人に7種類のミスセンス変異が同定された。そのうちp.A77S変異とp.A77Tはこれまでに報告の無い新規の変異だった。RIT1陽性患者の臨床症状の詳細を検討したところ、RIT1陽性患者では胎児水腫・胸水などリンパ形成不全の頻度が高いことが明らかになった。またこれまでに論文として報告されているPTPN11, SOS1, RAF1, KRAS, RIT1変異を持つヌーナン症候群患者の臨床症状を比較したいところ、RIT1変異陽性患者はRAF1遺伝子変異陽性患者と同様、肥大型心筋症の頻度が高いことが明らかになった。肺動脈弁狭窄、心房・心室壁中隔欠損の頻度はRIT1陽性患者が最も高かった。しかしながら低身長、知的障害の頻度は低いことが明らかになった。遺伝子解析と詳細な臨床症状検討により、遺伝子特異的な臨床症状が明らかになり、起こりうる合併症の予測や今後の治療方針の決定に貢献すると考えられる。
2)RIT1変異蛋白が活性化する下流のシグナル同定:今回同定した変異と以前の論文で解析していない変異全6種を細胞に発現させ下流のELK転写活性を調べたところ、正常RIT1に比べてELK転写活性を上昇させることがわかった。c-jun転写活性も弱いながら活性化した。
3)モデルマウスの作製:BRAF遺伝子ノックインマウスはC57black/6の遺伝的背景では胎生致死であるが、MEK阻害剤投与により生まれてきたマウスをICR系統へ交配したところ、ICR系統では継代ができ成獣まで生存することが明らかになった。ICRマウスは骨格の異常、成長障害などを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今回はヌーナン症候群における原因遺伝子毎の詳細な文献的考察を行い、その遺伝子・臨床症状連関を明らかにした。最初に考えていたよりもRIT1遺伝子変異陽性患者はヌーナン症候群の中で頻度が高く、PTPN11、SOS1、RAF1についで3~4番目に頻度が高いことが明らかになった。詳細な臨床症状を聴取しその臨床症状を検討したところ、胎児水腫や胸水などリンパ管形成異常の頻度が高いことや肥大型心筋症の頻度が多いことが明らかになった。今後ヌーナン症候群において遺伝子特異的な症状が明らかになることにより、起こりうる合併症の予測や今後の治療方針の決定に貢献すると考えられる。機能解析を行い、ヌーナン症候群で同定された変異が機能獲得性変異であることも報告した。

今後の研究の推進方策

RIT1 GTPaseは未だにその機能が明らかではない。今回は、RIT1遺伝子変異を細胞培養系に導入してELK転写活性が上昇することが明らかになったが、RIT1の心臓における機能や、他のRASとの機能の違いなどは明らかではない。細胞培養系でその下流の分子やシグナル伝達を明らかにするとともに、その遺伝子発現部位や、in vivoにおける機能を解析していく必要があると考えられた。

次年度使用額が生じた理由

検体の収集はおこなったものの解析が未実施のものがあり、その分の解析を次年度に行うため。

次年度使用額の使用計画

平成27年度に収集した検体の解析を平成28年度に行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] La Paz University Hospital, Madrid(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      La Paz University Hospital, Madrid
  • [雑誌論文] Recent advances in RASopathies.2016

    • 著者名/発表者名
      Aoki Y, Niihori T, Inoue SI, Matsubara Y.
    • 雑誌名

      J Hum Genet.

      巻: 61(1) ページ: 33-39

    • DOI

      doi:10.1038/jhg.2015.114

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Spectrum of mutations and genotype-phenotype analysis in Noonan syndrome patients with RIT1 mutations.2016

    • 著者名/発表者名
      Yaoita M, Niihori T, Mizuno S, Okamoto N, Hayashi S, Watanabe A, Yokozawa M, Suzumura H, Nakahara A, Nakano Y, Hokosaki T, Ohmori A, Sawada H, Migita O, Mima A, Lapunzina P, Santos-Simarro F, Garcia-Minaur S, Ogata T, Kawame H, Kurosawa K, Ohashi H, Inoue S, Matsubara Y, Kure S, Aoki Y.
    • 雑誌名

      Hum Genet.

      巻: 135(2) ページ: 209-222

    • DOI

      2016 doi: 10.1007/s00439-015-1627-5.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Adult mice expressing a Braf Q241R mutation on an ICR/CD-1 background exhibit a cardio-facio-cutaneous syndrome phenotype.2015

    • 著者名/発表者名
      Moriya M, Inoue SI, Miyagawa-Tomita S, Nakashima Y, Oba D, Niihori T, Hashi M, Ohnishi H, Kure S, Matsubara Y, Aoki Y.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 24(25) ページ: 7349-7360

    • DOI

      doi: 10.1093/hmg/ddv435.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 遺伝病と血液疾患2015

    • 著者名/発表者名
      青木洋子
    • 学会等名
      第77回日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      金沢(ホテル金沢)
    • 年月日
      2015-10-16 – 2015-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] BRAF knock-in mice provide a pathogenetic mechanism of developmental defects and a therapeutic approach in RASopathies2015

    • 著者名/発表者名
      Shin-ichi Inoue, Mitsuji Moriya, Tetsuya Niihori, Daiju Oba, Yoichi Matsubara and Yoko Aoki
    • 学会等名
      4th international RASopathies symposium
    • 発表場所
      シアトル、アメリカ (Doubletree at Seattle-Tacoma International Airport)
    • 年月日
      2015-07-17 – 2015-07-19
    • 国際学会
  • [学会発表] Cardio-facio-cutaneous症候群のモデルマウス作製とその病態解析2015

    • 著者名/発表者名
      青木洋子、井上晋一、守谷充司、大場大樹、新堀哲也、呉繁夫、松原洋一
    • 学会等名
      第118回日本小児科学会学術集会
    • 発表場所
      (大阪国際会議場 / リーガロイヤルホテル大阪)
    • 年月日
      2015-04-17 – 2015-04-19
  • [備考] 東北大学 大学院医学系研究科 遺伝医療学分野

    • URL

      http://www.medgen.med.tohoku.ac.jp/

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公開日: 2017-01-06  

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