研究課題
LRH-1 欠失マウスが耐糖能異常を示さず軽度肥満を呈したことから、遺伝子変異や多型がヒトの病態に同様の影響を及ぼすかを検証した。その結果、プロモーター領域の多型が、2型糖尿病の発症と境界有意を示した。レポーターアッセイとゲルシフトアッセイの結果から、トランス因子の結合の有無が転写レベルの変化に関与することが判明した。LRH-1で発現制御されるSHPの欠失マウスを作成して表現型を解析した。ヒトでは、胎生期インスリン過分泌を介して若年肥満を生じ、成人以降の2型リスクを増大させることを報告しているが、マウスでは、興味深いことに、機能欠失では高脂肪食負荷で肥満抵抗性となった。耐糖能に変化を認めなかったので、LRH-1欠失マウスと同様にヒトと異なる結果となった。MODY遺伝子の欠失マウスと同様に、LRH-1とSHPの欠失マウスもヒトで見られる病態を表すことはできなかった。第一に、ヒトとマウスの種差が想定以上に大きかったこと、第二に、耐糖能異常を発症しなかったのは、インスリン分泌能の代償性だけでなく、末梢組織のインスリン感受性や肝臓の糖放出能が関与した可能性がある。一連のMODYの原因遺伝子がコードするHNF転写因子は肝臓で脂質代謝において重要な役割を果たしているので、同様にグルコーゲン代謝や糖新生の調節変化が表現かたを修飾した可能性が考えられた。転写経路を網羅するために大規模ISHを行なったが、膵島特異的な発現を示すmRNA群の集積は一段落した。5,066個の対象遺伝子のうち、膵島特異的なキー分子11個を特定した。一方、発現レベルが顕著な47遺伝子を選別して562エクソンを解析した結果、605個のSNPを同定した。347個は新規であり、112個はミスセンス変異であった。これらは、MODY表現型の修飾因子の重要な候補であると共に、2型糖尿病の重症度にも関与する可能性がある。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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