研究課題
27年度はアメロイドコンストリクターを用いた虚血・再灌流モデルを用いたFGRラットモデルの確立を行った。これまで我々は、妊娠17日目に開腹し子宮動脈を40分間クランプした後、クランプを解除して閉腹し妊娠を継続させ、妊娠22日目に通常経膣分娩に至る方法でFGRモデルラットを作製していた。これにより日齢4での体重はFGR群 7.72±0.80g、コントロール群 10.4±0.39gで有意差を認め(p<0.05)、FGRモデルラットが作製されることを確認した。これに加え、さらにより病態に近いモデルを実現するためアメロイドコンストリクターを使用した慢性虚血モデルの作製に取り組んだ。アメロイドコンストリクターについては金属製のリング内部にドーナツ状のガゼインコアのある閉鎖具であり、血管周囲に装着後、体液を徐々に吸収し、ガゼインコアが膨張することで中心の穴が狭小化し緩徐に血管を閉塞させることが可能であり、一時的な虚血・再灌流よりも慢性的な血流制限を起こし、子宮内発育遅延により近い形のモデルが実現できる。サイズについては最も生存率が高く、成長制限を実現できるサイズを選定し、中心孔内径が0.4mmのアメロイドコンストリクターが最適であることを明らかにした。実際にアメロイドコンストリクターを用いた虚血モデルでは、日齢4での体重は6.89±0.76gであり、従来のモデルよりも低い体重を実現できている。また出生率については手術中に確認した胎児数と出生数について差異なく生まれている。28年度は、新しく開発されたFGRモデルラットの病理学的、行動学的検討、また様々な細胞の治療効果を確認していく予定である。
3: やや遅れている
最適なモデル作製に時間を要したため、研究の進行が遅れてしまった。
より病態に近い新たな慢性虚血モデルの作製に成功した。すでに各種細胞の調製、病理学的検討、各種行動実験の実験系は確立しているため、本モデルの病態解明と各種細胞の治療効果を検討していく。
病態や治療機序解明では、免疫組織学的、分子生物学的に行う予定の各種試薬を購入予定であったが、モデル作製に時間を要し、実験が遅れたため次年度未使用額生じた。
実験の進行が遅れている各種試薬の購入に使用する予定である。
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