研究課題
妊娠中期の妊娠高血圧症候群による胎児発育遅延(fetal growth retardation:FGR)は、胎盤を介した慢性的な低酸素血症、循環不全、栄養障害などが複合的に作用し、神経学的後障害の原因となっており、その治療法は確立されていない。そこで今回新たな治療として、臍帯由来間葉系細胞(umbilical cord tissue derived mesenchymal stem cells:UC-MSCs)を用いてFGRに対する有効性を検討した。FGRモデルは、妊娠17日目のラットの子宮動脈4か所にアメロイドコンストリクター(ameroid constrictor:AC)を装着し、胎児の慢性虚血を起こさせ作製した。出生したFGRモデルラットの生後4日目に右頸静脈よりUC-MSCsを1×10^5個(U群)を投与した群と、vehicle(V群)を作製した。生後10日後より行動実験を行い、免疫組織学的評価を生後2か月に行った。本研究は学内の審査機関の承認を得ている。【結果】行動実験において、傾斜板に頭を下に向けて置き上に向き直る反射を解析するnegative geotaxis試験では、V群は胎児期に慢性虚血を受けていないコントロール(C群)より有意に長いが(46.0±4.8秒vs.9.1±4.8秒;p<0.0001)、U群では改善した(46.0±4.8秒vs.23.3±4.8秒;p<0.01)。また免疫組織学的検討では、皮質における総神経細胞(Neuronal nuclei:NeuN陽性細胞)数がV群ではC群に比べ減少したが(3670185±296925vs.7698465±194385;p<0.0001)、U群では改善した(3670185±296925vs.5408295±257145個; p<0.01)。FGRモデルにおいてUC-MSCsの治療効果を確認した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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