研究課題/領域番号 |
26293254
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
澤村 大輔 弘前大学, 医学研究科, 教授 (60196334)
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研究分担者 |
松崎 康司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50322946)
中野 創 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90281922)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 自己免疫 / 皮膚 / 水疱 / マウス |
研究実績の概要 |
水疱性類天疱瘡は、高齢者に好発する自己免疫性水疱症で、自己免疫性水疱症のなかでは最も頻度が高い疾患である。蛍光抗体法で表皮真皮境界部に免疫グロブリンが沈着する。本症の自己抗体はIgGであり表皮真皮の境界部に存在する自己抗原を認識するが、その後の研究からBP180とBP230が自己抗原となることがあきらかとなっている。BP180は基底細胞の膜を貫通するコラーゲンであり、BP180に対する自己抗体を遺伝子改変動物に投与すると、BP180を認識する自己抗体が病変をおこすことを明らかにしている。しかしながら、BP230についての病原性は現在のところ不明である。患者の80パーセントという高い頻度でBP230に対する自己抗体が陽性になることから、何らかの意味をもつことは明らかである。本研究は、BP230への自己抗体の病原性、またBP230の表皮真皮結合能や新規機能の詳細を解明することが主な目的である。そのために、コンディショナルノックアウトマウスを用い、1)BP230に対する自己抗体を有するモデル動物の作製、2)BP230のノックアウト状態の長期観察、3)表皮に限局する皮膚欠損の作製、などを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BP230への自己抗体の病原性、BP230の表皮真皮結合機能の詳細、他の新規機能を明らかにするために、今年度はコンディショナルマウス(conKO)を詳細に検討した。本マウスでは、表皮特異的に、BP230の欠損が起こる。電顕的に皮膚を観察したところ、BP230より形成されるヘミデスモゾームプラークの低形成が認められた。また、表皮下水疱も観察され、BP230抗体が出現する水疱性類天疱瘡に類似する組織像であった。また、長期の観察も行ったが、KOマウスで現れる神経症状の出現はなく、conKOマウスが適切に作成されたことを示すものであった。以上、研究は順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、その表皮特異的conKOマウスから表皮細胞を培養し、分化に関連する遺伝子、遊走に関連する遺伝子の発現をRT-PCRとウエスタンブロットで測定する。さらに、スクラッチテストで細胞の遊走能を測定する。BP230の抗原をリコンビナントにて作成し、それを免疫することによって、自己抗体が出現し、水疱性類天疱瘡と類似する病変ができるかを観察する。
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