研究課題/領域番号 |
26293255
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松江 弘之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10250424)
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研究分担者 |
松岡 悠美 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10402067)
神戸 直智 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335254) [辞退]
中野 倫代 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20645634)
末廣 敬祐 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50375721)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ケラチノサイト / 三次元表皮 / アトピー性皮膚炎 / 責任遺伝子 / 毛包 |
研究実績の概要 |
<毛包角化細胞由来3次元表皮の作製方法の確立と評価> 毛包由来角化細胞から3次元表皮を作製する基本的技術は、すでに分担研究者の鎌田らが確立し特許を出願し、公開中である。抜毛の毛包部から毛包由来角化細胞を平面培養し、トリプシン処理後の個別角化細胞を化学樹脂上で培養し、3次元表皮作製へ進む。凍結保存した角化細胞からも同様に3次元表皮の作製に成功した。皮膚由来と毛包由来3次元表皮で、基底層、有棘層、顆粒層、角層が認められ、3次元構造に両者に有意な差は認められなかった。さらに、ケラチンの発現パターンや、フィラグリンの発現パターンを免疫染色で見ると両者に差異は認められなかった。3次元表皮からmRNAを精製し、gene arrayで解析したところ両者の遺伝子発現も極めて似ていた。In Vitro刺激試験を3例の毛包由来3D表皮と市販の3表皮で比較検討したところ、毛包由来の3例での結果はほぼ市販の3D表皮の結果と一致し、この毛包由来の3D表皮はパーソナルな表皮解析に資するものであることが示唆された。現在毛包由来3次元表皮の再現性の実験がほぼ終了し論文としてまとめているたが、共同研究者が退職したため以上の結果の一部の再現性を別の研究者での確認実験が終わり、データを刷新し2016年3月31日現在、peer reviewの雑誌にリバイスを投稿中である。 <パーソナル毛包角化細胞由来3次元表皮を用いたアトピー性皮膚炎の病因に関与する角化細胞由来新規原因遺伝子の探索> また、アトピー性皮膚炎の頭皮からも細菌の混入なく培養する方法を確立でき、アトピー性皮膚炎、正常人の毛包由来3次元を構築に成功し、アトピー性皮膚炎患者(11例)と正常人(8例)の網羅的遺伝子発現の解析をillumina HiSeq 2000 を用いて次世代シーケンスひとExsome-Seq解析を終了し、この時点でのデータを収集し、現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アトピー性皮膚炎にフォーカスして解析している点は順調に進んでいる。 パーソナル毛包角化細胞由来3次元表皮を用いたアトピー性皮膚炎の病因に関与する角化細胞由来新規原因遺伝子の探索としてアトピー性皮膚炎患者と健常人の毛包由来3次元表皮の遺伝子発現の網羅的解析を施行する。従来のgene array (Agilent)に加え、かずさDNA研究所のイルミナHiSeq2000を使用し、19例の全エキソーム塩基配列の分析のデータを得た。現在バイオインフォマティクスでデータの解析を施行中である。遅れている部分は毛包由来3次元表皮のバリア機能の評価法の確立、抗炎症外用剤の効果判定の研究がアトピー性皮膚炎の解析で研究費と時間を費やしたため検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
正常人コントロールとアトピー性皮膚炎の全エクソーム解析の結果を様々なバイオインフォマテイックスの手法を用いて新規原因遺伝子発現異常と新規遺伝子変異の同定を施行し、その評価をまず行う。原因遺伝子として可能性が予想される場合はさらに、それらの変異を持つアトピー性皮膚炎患者からの毛包由来3次元表皮を作成し、その機能分析(バリア機能、刺激性試験など)を進める予定である。次に、環境因子応答に異常をきたす遺伝子発現の違いとその違いをもたらす遺伝子の変異を探索する。刺激の前後のgene array解析はおもにRNAseq解析の結果と対比し検討する。それらの解析から得られた候補遺伝子につき、遺伝子配列異常の有無を調べ、さらに、末梢血単球から抽出したDNAで遺伝子変異を確認する。候補遺伝子のタンパクレベルでの発現をウエスタンブロット、免疫染色で確認する。また候補遺伝子の発現をsiRNAで抑制し、 健常人由来3次元において、バリア機能、刺激反応性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子解析が遅れ、予定の研究計画を施行できず、経費を次年度に繰越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬や培養プラスチック等物品費として使う。
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