研究課題/領域番号 |
26293262
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菊知 充 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00377384)
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研究分担者 |
横山 茂 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00210633)
真田 茂 金沢大学, 保健学系, 教授 (50020029)
吉村 優子 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (70597070)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム / 幼児 / 脳磁図 / 脳内ネットワーク / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
研究対象として、金沢大学付属病院神経科精神科あるいは子どものこころ診療科に受診したASD患者10名(3~6歳前後)と健常コントロール20名をリクルートした。ASD患者について診断はDISCO(The Diagnostic Interview for Social and Communication Disorders)に基づいて行った。対象者の実父母に本研究の主旨を文書により十分に説明し、文書による同意を得た。金沢大学医学倫理委員会の承認のもと、本人および保護者に研究の内容を文書にて十分に説明した後に、文書にて同意を得て実施した。認知機能の評価はK-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children )を利用した。社会性の成長過程の行動評価として、分担研究者であるライセンス保持者である分担研究者(吉村)が国際標準であるADOSをもちいた行動観察を行い確認した。また養育者による社会性の評価を日本語版Social Responsiveness Scaleで実施することで、日常生活における社会性の評価を行った。社会的インターラクションを客観的に定量化するために、母子間の行動をビジネス顕微鏡をもちいて定量化した。脳内のネットワーク評価にはMEGのcoherence解析に加え、imaginary coherenceも活用し、異なる部位間の位相差の恒常性について評価し、自閉症スペクトラム障害児における特徴を捉えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者である幼児について、計30名をリクルートし、昨年度と合わせて計80名の被験者で分析を進めることができた。行動学的および生理学的側面と、遺伝子との関係を調べるための包括的分析は最終年度に行うことになるが、現時点のサンプルにおいても自閉症幼児の脳内ネットワークの特徴と、認知的側面についての解明が進められており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も行動学および生理学的側面と、遺伝子の関係を調べるために、データベース作成が不可欠であり、合計100名を超えるまで被験者のリクルートをつづける。さらに複雑な脳機能構造の解明にむけて、取り組んでいくために、脳機能解析方法にも、マルチエントロピースケールやグラフ理論などをとりいれて、遺伝子と中間表現型との関係を探っていく。親子のインターラクションの評価方法として、新たに、親子が見つめ合いながら同時測定が可能な脳磁図計を活用し、体の動きの連動性についてのデータを脳磁図の低周波成分(体動ノイズ)を抽出することにより分析方法を取り入れていく。社会的場面の指向性については、Gazefinderを活用して継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度、幸運にも特定の協力的な被験者が他の研究への参加の際に、当研究への協力はボランティアとして参加していただける環境となった。短期間に集中することが偶然可能となり、実験期間に比例して利用負担の増えるヘリウムガスのコスト削減を図ることができた。また、解析に必要な研究員のパート雇用については、データ解析に重点的なタイミングで効率よく実施するために、データが構築される次年度に雇用することが現実的であると判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、ボランティア被験者を短期間に集中する見込みがない。そのことから長期間の幼児用MEGの使用が考えられ、その結果ヘリウムガスのコスト削減は困難である。単価が高騰し続けているヘリウムガス料を補てんするため、前年度から繰り越される費用を活用する。更に、膨大なデータを解析するための、解析ソフトウェアの補充と研究補助のパート雇用のために研究費を活用し、研究成果の国際科学雑誌への発表に向けて活動する。本研究の成果の国際科学雑誌掲載料にも活用する。
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