研究課題
HLAを含むMHC領域は、統合失調症の全ゲノム関連解析の結果、遺伝要因として確実なリスクとして認識されている。しかし、この領域は、非常に複雑な連鎖不平衡や遺伝子構造のため、真の疾患感受性を有する遺伝子多型の絞り込みは不可能とされ、単なる「リスク領域」としてのみの位置づけである。本研究では、過去に十分なサンプルサイズを用いた解析を行っていない古典的HLAに再度焦点を当て、リスクとなりうる特定のHLAアレルを同定することにある。平成26年度、全ゲノムSNP解析の結果(HLAを含むMHC領域での関連)をvalidateするために、統合失調症2000名と正常対照者約1000名のHLAタイピングを行ったが、その結果は、驚くべきことにHLAにおける特定のアレルとの有意な関連は得られなかった。平成27年度は、正常対照者のタイピングをすすめ、サンプル数を統合失調症2000名と正常対照者約2000名としたところ、HLA-Bの特定のアレルにP-10-4レベルの関連を認めることが出来た。他方、全ゲノムSNP解析の結果では、前述のようにHLAを含むMHC領域にはsuggestiveな関連を得ているため、SNPベースの解析をさらに進めている。
2: おおむね順調に進展している
SNPベースの解析は、現在Quality control中であり、今年度前半に結果が判明する。
HLAタイピングは今後も順調にサンプルを拡大していく。新規統合失調症サンプル1000名と、正常対照者500名のHLAタイピングを今年度までに完了させ、特定のHLAと統合失調症が関連するかどうかの結論を得ることを目的とする。(最中的には、統合失調症3000名と正常対照者2500名となり、日本では最大規模のサンプル数となる)
HLAタイピングの新規機器が当大学に導入される(H28年4月)ことが判明し、その機器を使用したほうが効率が格段に上がるため
4月以降随時HLAタイピングを推進する。
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Biol Psychiatry
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.biopsych.2015.12.006.
J Clin Psychiatry
巻: 77(1) ページ: e29-30
10.4088/JCP.15l10127.