研究課題
HLAを含むMHC領域は、統合失調症の全ゲノム関連解析(GWAS)の結果、遺伝要因として確実なリスクとして認識されている。それは特に白人を対象としたGWASにおいて顕著であり、Pとしては1xE-30以下と驚異的なP値を示している。しかし、この領域は、非常に複雑な連鎖不平衡や遺伝子構造のため、真の疾患感受性を有する遺伝子多型の絞り込みは不可能とされ、単なる「リスク領域」としてのみの位置づけである。本研究では、過去に十分なサンプルサイズを用いた解析を行っていない古典的HLAに再度焦点を当て、リスクとなりうる特定のHLAアレルを同定することにある。本研究では、新規統合失調症サンプル約2500名と、正常対照者約3000名を対象として、ルミネックス法によるHLAタイピングを完了し、特定のHLAと統合失調症が関連するかどうかを検討した。しかし、有意な関連を示す特定HLAアレルは認められなかった。本結果では、古典的HLA(effect sizeは高いと推測される)の関連解析では最大規模のサンプルを用いたにもかかわらず、白人を中心に有意な関連を得ているHLA領域では、少なくとも日本人においては古典的HLAとの関連を示しているものではなく、non-HLA遺伝子が関連している可能性を示唆している。すなわち、non-HLA遺伝子にある「機能に影響する多型」が統合失調症の感受性に関連することが考えられる。従って、今後本領域に位置するnon-HLA遺伝子をターゲットとしたシーケンスなどを行う必要がある。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Biol Psychiatry
巻: in press ページ: in press
doi: 10.1016/j.biopsych.2016.12.009
Mol Psychiatry
doi: 10.1038/mp.2016.259
Psychiatry Clin Neurosci
巻: 70 ページ: 489-497
doi: 10.1111/pcn.12424
BIol Psychiatry
巻: 15;80(8) ページ: 636-42
doi: 10.1016/j.biopsych.2015.12.006