研究課題/領域番号 |
26293269
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
工藤 與亮 北海道大学, 大学病院, 准教授 (10374232)
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研究分担者 |
真鍋 治 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40443957)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
加藤 扶美 北海道大学, 大学病院, 助教 (80399865)
藤間 憲幸 北海道大学, 大学病院, 助教 (80431360)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線科学 / 核磁気共鳴画像(MRI) / 脳血流代謝 |
研究実績の概要 |
H27年度は、O-17濃度別ファントムや健常人ボランティアでのMRI撮像を行い、撮像法開発を継続した。過去の検討によりsteady state型のT2強調画像をベースに開発を進めたが、長いTEやTRを用いた撮像ではbanding artifactが非常に目立つため、円筒型のファントムの設計変更を行った。また、脳実質のT1値やT2値に近い値に溶液を調製したものを新たに作成し、ファントム実験を継続した。その結果、steady state型ではないT2強調画像の撮像が有用であることが判明し、新たな撮像法としての有力な候補となった。医師主導臨床試験としてO-17水分子を健常人ボランティアに投与してMRI撮像を行っているが、そのデータを用いて撮像法開発や画像解析法開発を継続し、画像解析ソフトの基盤を作成した。撮像されたMRIデータの読み込み、時間濃度曲線の作成を行う事が可能となり、さらに血流量の定量解析を行うアルゴリズムの開発を継続した。 O-17酸素分子に関しては、O-17水分子の静脈内投与用製剤の供給元である国内企業との協議を行い、製造体制の構築に向けた準備を行った。具体的に動物で投与するためのボンベやパイピングなどの協議を開始し、H28年度に動物での投与が可能となるような準備を行った。O-17濃度別ファントムではヒト用に加えて動物用MRIで用いることができるような小径のファントムを作成し、ヒト用と同様にT1値やT2値の調整も行い、動物用MRIでの撮像実験を開始した。ヒト用MRIで用いた撮像法を何種類かテストし、動物用MRIでも類似したコントラストで撮像できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
O-17濃度別ファントムや健常人ボランティアでのMRI撮像にて、撮像法の開発は順調に進んでおり、安定した信号が取得出来るようになってきた。さらに高コントラストな撮像法が望まれており、パラメータ設定に関してはもう少し検討が必要である。既存の医師主導臨床研究でのMRI画像データを用いることで画像解析ソフトの開発も行っている。 O-17酸素分子の製造体制構築に関しては企業側での対応が主体であるが、動物実験を行うための準備も順調であり、H28年度には動物でのMRI撮像が可能となる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
濃度変更を行ったO-17濃度別ファントムをヒト用MRIで撮像し、信号強度からO-17濃度を定量化する式を求める。さらに、健常人ボランティアでのMRI撮像を継続し、脳腫瘍をターゲットとした撮像法開発を行い、より安定して高コントラストなMRI撮像法の確立を目指す。また、医師主導臨床試験のMRI撮像データから脳腫瘍用の撮像法開発を行い、画像解析法開発に関してはコンパートメントモデルを用いた定量解析法のアルゴリズム作成を行う。定量化の際には、O-17濃度別ファントムでの信号濃度直線を利用する。 酸素代謝をターゲットして、O-17酸素分子を用いた動物実験を行う。動物への投与方法の検討としO-17酸素分子ガスのボンベ化や、投与経路としてのパイピングなどの調整、O-17酸素分子の濃度調製方法の最適化などを行う。MRI撮像はコモンマーモセットを用いて行い、ヒト用のMRI撮像法をベースに動物用MRIでの最適化を実施し、O-17酸素分子の投与後に連続データとして撮像を行い、信号変化から定量化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
MRI装置の時間外使用料金が予想よりも少なく、O-17濃度別ファントムも既存のものを用いた検討が可能であったため。 また、O-17酸素分子に関する研究は動物を主体にH28年度に行う事になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
MRI撮像法の開発を継続して行い、消耗品やMRI装置の使用料などの経費として支出し、成果発表などで旅費として使用する。O-17酸素分子に関する検討として、動物用MRIを用いた実験を行う。
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