研究課題/領域番号 |
26293273
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
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研究分担者 |
北村 陽二 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (10368483)
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ベサミコール類似体 / アセチルコリントランスポーター(VAChT) / PET |
研究実績の概要 |
本年度は、アルツハイマー病の早期診断、重症度診断および治療効果判定が可能なPET用のポジトロン核種標識VAChTイメージング剤としてたo-[11C]methyldecalinevesamicol ([11C]OMDV)を標識合成するための条件検討を行った。o-trimethylstannyl-trans-decalinvesamicol (OTDV)を標識前駆体として、パラジウムを触媒として、反応温度130℃、反応時間5分で反応し、HPLCによる精製の結果、[11C]OMDVが放射化学的収率20%以上、放射化学的純度>99%で得られた。次に,昨年度、[11C]OMDVの脳内分布体を調べた結果、投与後10分で、大脳で0.71%ID/gの集積を示し、血液―脳関門を通過することが確認できたことから、小動物PET/CTを用いたラットのin vivo脳内動態を調べた。実験は、SDラットに20-30MBq/0.4mLの[11C]OMDVを尾静脈より投与し、脳について投与後60分間、PET/CT(FX3000 Pre-Clinical Imaging System, Gamma Medica-Ideas, Inc. U.S.A.)を用いて撮像した。撮像後に、脳各部位の関心領域(ROI)を設定し、SUVを求めた。その結果、ラット脳内にVAChTに特徴的な集積が確認できた。さらに、阻害剤(+/‒)-vesamicolを投与した場合、ラット脳内の[11C]OMDV集積は顕著に減少したことから、ラット脳内にける[11C]OMDV集積は明らかにVAChT 分布を示していることが確認できた。今後、さらに、[11C]OMDVを光学分割し、それぞれの光学異性体である(-)-[11C]OMDVと(+)-[11C]OMDVを標識合成し、さらに優れたVAChTイメージング剤の開発を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいPET用VAChTイメージング剤として、o-[11C]methyldecalinevesamicol ([11C]OMDV)が収率良く標識可能となり、小動物用PET/CT装置を用いたin vivo脳内動態撮像も行うことが出来たことなど、計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年までに、新しいPET用VAChTイメージング剤として、o-[11C]methyldecalinevesamicol ([11C]OMDVの有用性がある程度確認できた。今後、VACHTリガンドは光学異性体によりVAChT親和性、選択性が大きく異なることが知られている。そこで、OMDVを光学分割し、それぞれの光学異性体である(-)-[11C]OMDVと(+)-[11C]OMDVを合成し、in vitro およびin vivo実験により比較し、さらに優れたPET用VAChTイメージング剤を開発していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、平成28年度は合成、標識合成、in vivtro実験を行うための人件費を計上する予定ではなかったが、研究の進捗状況から、さらに新しい化合物の合成、標識合成、さらにそれらの化合物のin vitro評価をする必要がでてきたため、平成28年度も人件費の費用として繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
新規アセチルコリントランスポーター(VAChT)イメージング剤の合成、標識合成、in vitro評価を行うための研究補助としての人件費として、6時間/日で1年間雇用する。
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