研究課題
我々はこれまでに、脳アミロイドアンギオパチ-(CAA)を標的としたイメージングプローブの開発を進め、99mTc-BT2および99mTc-MBT2がCAAイメージングプローブとして有用であることを報告してきた。今年度は、99mTc-BT2および99mTc-MBT2の比較検討ならびにインビボ評価実験を行った。アミロイド過剰発現モデルマウス(Tg2576マウス)から作製した脳切片を用いたインビトロ結合実験の結果、99mTc-BT2は99mTc-MBT2に比べて、アミロイド凝集体への高い結合性が示された。そこで99mTc-BT2のインビボ評価実験を行った。99mTc-BT2をTg2576マウスに投与後、マウスを屠殺、脳を摘出し、凍結組織切片作製用ミクロトームにより、凍結組織切片を作製し、その組織切片上のオートラジオグラフィーによる放射能分布と、Aβ抗体を用いた免疫染色との比較検討より、プローブの脳血管Aβ凝集体への結合性についてインビボでの評価を行った。その結果、99mTc-BT2の脳切片上の放射能集積部位と、同一切片をチオフラビンSで染色した陽性部位および血管マーカーであるCD31に対する免疫染色陽性部位とが一致したことから、99mTc-BT2は脳実質アミロイドには結合せず、脳血管アミロイド選択的に結合することが示唆された。さらに、99mTc-BT2をTg2576マウスおよび野生型マウスに投与後にSPECT撮像実験を行った。その結果、Tg2576マウスおよび野生型マウスのSPECTイメージに顕著な差は確認できず、これには99mTc-BT2の遅い血中クリアランスが起因していると考えられ、今後はさらに血液クリアランスを促進させたプローブ開発が重要であることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
PLoS ONE
巻: 11 ページ: e0163969
10.1371/journal.pone.0163969
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 25990
10.1038/srep25990