研究課題
本研究の目的は、高線量放射線被ばく後の急性放射線症候群および晩発性放射線障害に伴う臓器障害全般に対して、造血幹細胞移植と間葉系幹細胞(mesenchymal stem/stromal cells, MSC)移植の特性を最大限に利用した包括的な新規細胞治療法を開発するための根拠となる知見を得ることである。本年度は、前年度に確立した全身放射線照射を行ったマウス造血細胞移植モデルを用いて、引き続き骨髄由来MSC(BM-MSC)と造血幹細胞の共移植実験を行い、移植後に見られる所臓器に対する組織損傷が、BM-MSCあるいはその培養上清に含まれる成分によって修復されることを確認した。また、BM-MSC培養上清中に含まれる組織修復活性を有する物質がMSCに由来するmicrovesiclesであることを見出し、その免疫抑制作用、消炎作用が投与量依存的であることを確認した。一方、研究計画に掲げた損傷組織のRNAseqによるトランスクリプトーム解析は、サンプルの収集を行っているが、それに充てる研究費用が当初の予想より膨大となることが判明したため実現に至っていない。また、前年度までに行った低線量放射線照射が、BM-MSCの増殖能・骨分化能・脂肪分化能に与える影響については、再現性を確認し、現在、論文を投稿中である。さらに、緊急被ばく事故への対応を想定し、われわれが開発した凍結保存さい帯血からの高効率の治療用MSC樹立法についても新たな成果を含む論文報告を行った。その他、上記の研究過程で、BM-MSCのB前駆細胞支持能の接着阻害活性を有する臨床医薬品を見出し、その阻害機序に関する新しい知見を得ることができたため、論文報告を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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http://home.hiroshima-u.ac.jp/hematol/research-activities.html
https://www.hiroshima-u.ac.jp/rbm/research/lab/Hematology_and_Oncology