研究課題/領域番号 |
26293278
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40322747)
|
研究分担者 |
樋渡 昭雄 九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
栂尾 理 九州大学, 大学病院, 助教 (10452749)
山下 孝二 九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)
熊澤 誠志 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363354)
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
吾郷 哲朗 九州大学, 大学病院, 助教 (30514202)
福倉 良彦 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (50315412)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | MRI / 脳 / 脳梗塞 / 分子イメージング / pH |
研究実績の概要 |
1.撮影パルスシーケンスおよび解析法の開発 pH強調画像のパルスシーケンスの開発を行った。二次元のturbo spin-echo法と持続時間および強度を調整できる飽和パルスから成るシーケンスで、十分な信号雑音比を持つ画質が達成できた。飽和パルスの持続時間は最長2秒まで長くすることが、強度は2μTまで強くすることができ、いずれもspecific absorption rate(SAR)の制限内に収めることができた。このパルスシーケンスを使って、pHを調整した卵白を用いたファントムでの実験を行い、pHとpH強調画像から計算されるAPTの信号(MTRasymmetry)の間の関係を検討した。その結果、pHが5から8の範囲で、pHの増加に伴い、MTRasymmetryが直線的に増加することが確認された。 pH強調画像の解析における、B0の不均一の補正は、別途撮影したB0マップを使用して補正を行う方法を採用した。 2.急性脳梗塞患者でのデータ収集 急性期脳梗塞患者においてpH強調画像を撮影し、画像データを収集した。それぞれにおいて、飽和パルスの強度を2μTに固定し、長さ(飽和時間)を0.5秒、1秒、2秒の三段階に変化させて検討した。発症後4日以内の7名の患者で検討した結果、MTRasymmetryは飽和時間が0.5秒で0.96%、1秒で0.66%、2秒で0.35%となり、MTRasymmetry が最大となる0.5秒が最適な飽和時間と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
pH強調画像のパルスシーケンスを開発することができ、それを用いてpHの変化をAPT信号(MTRasymmetry)の変化として検出できることを明らかにできた。また、B0補正の手法を確立することができた。 また、急性期脳梗塞患者において開発したパルスシーケンスを用いてpH強調画像を撮影することができ、実際の急性期脳梗塞で、最適な飽和パルスの持続時間を明らかにすることができた。 一方、pH強調画像からpHを推定するソフトウエアの開発は完了していない。また、急性期脳梗塞患者でのデータ収集は、2発症後24時間以内の超急性期の症例数がやや少ない状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
1.pH強調画像のパルスシーケンスの更なる最適化:平成26年度に開発されたpH強調画像のパルスシーケンスを更に最適化し、pH低下によるAPTコントラストが最大となる条件を確立する。 2.pH強調画像解析法の確立:平成26年度に引き続きpH強調画像の解析法を確立し、pHを定量してマッピングする方法を開発する。 3.急性期脳梗塞患者でのデータ収集:平成26年度に引き続き、急性期脳梗塞患者での画像データおよび臨床データの収集を行う。特に、発症24時間以内の超急性期の梗塞患者の症例数を増やすことを目指す。 4.pH強調画像による虚血脳組織の予後推定法の開発:収集された患者画像データから、まず、従来の画像指標である、拡散強調画像による見かけ上の拡散係数(ADC)や灌流画像によるcerebral blood flow(CBF)とAPTを比較し、APTがこれらの画像指標と異なる独立した虚血のパラメータであることを検証する。次に、超急性期脳梗塞例における拡散強調画像、灌流画像、pH強調画像の異常域を、最終梗塞巣の体積と比較し、それぞれの指標による最終梗塞巣の予測能を比較する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
日程が調整できず、学会に参加できなかったため、旅費の支出がやや少なくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
かかかか平成26年度で完成できなかったpH推定のためのソフトウエアの開発を平成27年度に加速するため、その経費に割り当てる予定である。
|