研究課題/領域番号 |
26293281
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 憲一 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70363075)
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研究分担者 |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
田中 浩基 京都大学, 原子炉実験所, 特定准教授 (70391274)
遠藤 暁 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90243609)
高田 純 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (00274134)
梶本 剛 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70633759)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線治療物理学 / 中性子捕捉療法 / 線量評価 / ゲル / 弁別 |
研究実績の概要 |
本年度は、照射実験を継続するとともに、熱外中性子測定法の開発に取り組む計画であった。予定通り、一定の知見を得たが、予定より進んでいる部分・遅れている部分がある。 まず、昨年度知見を得た組み合わせ、すなわち、0または1ppmの6Liを添加したMAGATタイプのゲル、10ppm6Li-MAGAT、100ppm6Li-MAGATによる3つのビーム成分、即ち熱・高速中性子並びにγ線の検出に関し、感度測定を行った。照射には広島大学工学部のコバルトγ線照射装置を用いた。この結果、フッ化リチウムをはじめとする7個のフッ素化合物について、ゲルの感度変化を定量した。最終的にビーム成分評価をする際には、ここで定量した感度変化を補正した上でビーム成分による感度を勘案することとなる。また、フッ化リチウムや塩化リチウム、硫酸リチウムが取り扱いやすいとわかった。照射後の待ち時間や温度変化についても実験・文献調査し、最終的な治療照射場での実験に備え条件を決定できた。 もっともチャレンジングな熱外中性子評価に関しては、熱外領域における33S(n,α)30Si反応の断面積を調査し、phitsコードによる模擬計算が行えるよう取り組んだ。成否を確認する段階に来ている。 加えて、当初の計画を発展させ、ゲル表面近傍の2次元分布に特化して熱外中性子を評価する手法を検討した。具体的には、phitsコードによりゲルへのエネルギー付与を計算した。結果として、ほかのビーム成分の阻害10%はあるものの、100ppm6Li-MAGAT単体で評価できる可能性を明らかにした。 今後は、熱外中性子評価の条件を明らかにし、熱外用ゲルの線量応答性を明らかにする計画である。かつ、3つまたは4つのビーム成分の混合照射を行い、開発手法の検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
模擬計算による4成分評価可能なゲルの組み合わせ設計は、ほぼ計画通りに進んでいる。3成分評価についてはゲル特性取得をしており、またゲル表面2次元分布に特化した測定可能性を明らかにし、必要なゲルの選定を行っている点でやや計画よりも進んでいるが、中性子・γ線混合照射に用いる予定の京都大学原子炉が2年にわたり運転休止をしているため、混合照射実験を行っていない点で、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
熱外中性子評価の条件を明らかにし、熱外用ゲルの線量応答性を明らかにする計画である。33S(n,α)30Si反応による増感が大きく見込めないとの結論となれば、ほかの核反応を探しつつ、深部の熱中性子評価から浅部の熱外中性子評価をできる条件を探す。 測定法の検証のため京都大学原子炉による照射実験を計画するが、密封線源の代用ではゲルの仕様が変わり本手法の検証としては間接的となるため、運転休止が続く場合には、次年度の運転再開に賭け、助成期間終了後も研究が続けられるよう経費を節減しつつ上記研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
中性子・γ線混合照射場で実験が行えなかったため、消費するゲルの量が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に、ゲルの材料費などに充てる。
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