研究課題/領域番号 |
26293284
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鬼澤 浩司郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60194578)
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研究分担者 |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周病 / 脂肪性肝疾患 / 転写因子 / 酸化ストレス / 運動療法 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(Nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)を有する肥満者を対象に、口腔内環境に関する調査をおこなった。また、運動習慣が口腔内環境に及ぼす影響についても検討を行った。NAFLD肥満患者の59例において、唾液中の歯周病菌(Porphyromonas gingivalis)数と体組成、血液検査項目に相関は認めなかった。しかし、4 mm以上の歯周ポケットの割合は、総コレステロール値およびLDL値と相関を示した。さらに、本学体育系にて開催されている運動教室に参加したNAFLD肥満患者の男性61例を対象として、インストラクター指導のもと3か月間の運動プログラムを実施し、運動プログラム前後の口腔内環境について評価した。その結果、NAFLD肥満患者で歯周病菌数が顕著に多いという結果は得られなかった。しかし、運動プログラム参加後で、4 mm以上の歯周ポケットの割合が14.4%から5.6%へ減少した(P < 0.05)。また、BOPの割合も39.8%から14.4%へ減少した(P < 0.05)。口腔乾燥値、修復歯数、残存歯数には明らかな変化を認めなかった。歯周病菌については、4菌種(Porphyromonas gingivalis、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Tannerella forsythensis、Treponema denticola)について検討したが、運動習慣により、Tannerella forsythensis、Treponema denticolaの菌数が有意に減少した(P < 0.05)。そして、Treponema denticola菌数の減少については、体重減少とLDL値の減少およびインスリン値の減少と相関を示した。多変量解析の結果により、Treponema denticola菌数に対して体重が影響する因子であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動プログラム前後で歯周ポケット歯率・BOP歯率の有意な改善を認めたことから、運動習慣が歯周疾患に対し何らかの影響を与えていることが示唆された。また、Porphyromonas gingivalisが歯周病菌として注目され研究対象となることが多かったが、今後はTreponema denticolaに着目し、NAFLDの病態への関連および全身に及ぼす影響について検証することの方向性が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
肥満と歯周疾患の関連性は多くの論文で指摘されているが、同一被験者の運動習慣の有無での比較の報告はない。今後、運動習慣による口腔内環境の改善のメカニズムについて、実験動物モデルを用いた実験を平行して行ないながら,そのメカニズムを解明していく予定である。
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