研究課題/領域番号 |
26293284
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鬼澤 浩司郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60194578)
|
研究分担者 |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 歯周病 / 生活習慣病 / 運動 / 口腔内環境 |
研究実績の概要 |
歯周病は生活習慣病の一つといわれており、また、適度な運動習慣が生活習慣病の改善につながることは広く知られている。運動習慣が歯周病および代謝病態に及ぼす影響について検討した。対象は、本学体育系にて開催されている運動教室に参加した中年肥満男性50例(以下運動介入群)とし、3か月間の運動実践プログラム前後に観察研究を行った。項目はアンケート調査、問診、現在歯数、歯周病検査(プロービング深さ(以下PD)、プロービング時の出血(以下BOP))、唾液中の歯周病原因菌数、体組成、血液生化学検査とした。また、3か月間食事介入を行う減量教室に参加した肥満傾向の男性22例についても同様に上記の観察研究を行った。運動介入群では、プログラム実施後, PDが4 mm以上の歯率が11.1%から3.6%へ減少(P < 0.05)、BOP歯率が37.7%から14.3%へ減少した(P < 0.05)。唾液中の歯周病原因菌数の変化は、Tannerella forsythia(以下T.f)、Treponema denticola(以下T.d)の変化量に有意差を認めた(P < 0.05)。また、T.d菌数の変化量と、体重・LDL-C・空腹時インスリンの変化量との間に正の相関関係を認めた(P < 0.05)。一方、食事介入群ではいずれの数値も有意差を認めなかった。運動介入群では、歯周病検査の項目が有意に改善したこと、原因菌数が有意に減少したこと、さらに、T.d菌数の減少が体重・LDL-C・空腹時インスリンの減少と正の相関関係を示したこと、一方、食事介入群ではいずれも改善を認めなかったことから、運動習慣が歯周病の改善、それを介する生活習慣病の病態改善に寄与する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果について,2015年5月に第69回日本口腔科学会にて、また、9月には第70回体力医学会にて学会発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
歯周病が生活習慣病の病態に及ぼす影響の分子メカニズムを解明するために、歯周病原因菌を罹患させたマウスを作製し、運動実践の前後における菌の変化と生活習慣病の病態因子の変動を詳細に検討する。また、論文化にあたり、解析症例数の増加、さらに、説得力のある病態解析に関するデータを獲得していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
病態評価のためにサイトカイン測定を実施する予定であったが,購入する商品が輸入品であり納品が年度内に間に合わなかった.
|
次年度使用額の使用計画 |
新年度に納品された測定キットを用いて,速やかに測定を実施する.
|