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2015 年度 実績報告書

次世代シーケンサーによる膵癌早期診断マーカー同定と低侵襲十二指腸液検査法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26293285
研究機関名古屋大学

研究代表者

小寺 泰弘  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10345879)

研究分担者 神田 光郎  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00644668)
山田 豪  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30467287)
藤井 努  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60566967)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード低侵襲スクリーニング法 / 膵腫瘍 / 次世代シーケンサー
研究実績の概要

膵癌は発見時にすでに遠隔転移を伴っていることが稀でなく、予後改善のためには浸潤癌に至る前の早期診断が最も重要である。本研究ではこの問題を解決しうる、臨床応用に直結する新規遺伝子学的低侵襲スクリーニング法開発の基盤となる知見を得ることを目的としている。次世代シーケンサーによる網羅的体細胞変異検索により膵癌の段階的発癌過程新規分子マーカーを同定し、これを高感度遺伝子変異検出技術で臨床検体から検出することがゴールである。平成27年度までに、以下の実績を得ている。名古屋大学医学部附属病院消化器外科二において膵切除術を施行した膵癌症例の凍結保存検体から、顕微鏡で確認し正常膵管組織、PanIN 2-3、浸潤性膵管癌の組織を採取した。QIAamp DNA Micro Kitを用いて次世代シーケンサーでの解析に適した高品質DNAを抽出した。未知の遺伝子変異を同定すべく、癌関連の578遺伝子のエクソン領域を網羅的にカバーするSeqCap EZ Choice Library (Roche Applied Science) のComprehensive Cancer Designを用いてライブラリ調整を行い、Illumina Hiseq (Illumina) によるPaired-End法 (100塩基) で塩基配列データを取得した。リードデータを処理し、重複して出力された変異候補箇所については変異塩基ごとに転写・翻訳産物への影響が最も強いと予測される箇所に絞って解析を進めた。正常膵管組織では認めず、PanIN 2-3の75%以上で認められ、かつ浸潤性膵管癌でも75%以上に認められる変異を検索した結果、NOTCH2、AFF3、EXT1、IL21R、CDH6の5遺伝子のエクソン内に条件に合致する変異を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

微小病変からの高純度なDNA検体を必要検体数分確保する作業に予想以上の期間を要したが、膵癌段階的発癌過程の各段階を対象とした次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子変異解析は完了し、そのデータ解析も達成することができた。それと同時に、臨床検体からの候補マーカー検出を試みる準備は進んでいる。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、これまでの成果である高度異型前癌病変に移行する段階で特異的に出現する遺伝子変異を、臨床検体から検出できるかを検証する。膵液検体、IPMN嚢胞内容液などの臨床検体の収集は進んでおり、まずは入手した各種臨床検体からの核酸抽出をDNeasy Blood & Tissue Kit (Qiagen)により行い、均一かつ高品質なDNA検体を準備する。微量な遺伝子変異を検出するためには、高感度な遺伝子変異解析手法が必須であり、0.1%の変異allele存在率まで検出可能であることをすでに確認しているCast PCR法とdigital HRM法を用いる。臨床検体からのNOTCH2、AFF3、EXT1、IL21R、CDH6変異およびTP53、GNAS変異の検出率を調べるとともに、膵切除検体から得られた腫瘍部組織に対しても同様に変異解析を行い、体液中から得られる変異マーカーの結果が原発巣の遺伝子変化を反映しているかについても評価する。

次年度使用額が生じた理由

網羅的解析データを得るまでに、若干の達成度に遅れを生じており、そのため次年度使用額を生じている。

次年度使用額の使用計画

標的遺伝子変異は同定することができたため、平成28年度に残る研究計画を遂行すべく、臨床検体からの変異検出実験に繰り越した経費を使用する計画である。

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公開日: 2017-01-06  

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