研究課題/領域番号 |
26293288
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島田 光生 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
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研究分担者 |
荒川 悠佑 徳島大学, 大学病院, 助教 (00448325)
池本 哲也 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20398019)
田中 真二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30253420)
安友 康二 徳島大学, 大学院医ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30333511)
濱田 康弘 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30397830)
岩橋 衆一 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (30531751)
片桐 豊雅 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (60291895)
森根 裕二 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60398021)
居村 暁 徳島大学, 大学病院, 特任教授 (90380021)
親泊 政一 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (90502534)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝不全 / 肝星細胞 / 加齢肝 / 肝再生 |
研究実績の概要 |
肝星細胞による肝再生能不全プロセスの解明と治療法の開発 1.加齢肝における背景肝内環境要因の解析:(1)マウス加齢肝再生の検討:Balb/cマウス4週令を若年群、40週令を加齢群とし、70%肝切除を施行し比較検討した。加齢群では術後肝障害(AST・ALT・LDH・T-Bil)が術後48時間以降、加齢群で有意に上昇し、術後24時間でHGF・CyclinA2、術後48時間でMet・CyclinD2が加齢群で有意に減少し、p16INK4a mRNAの有意な上昇は継続しており、肝切除術後加齢肝再生能の減弱が確認された。(2)ヒト加齢肝における解析:肝切除症例を若年群(<60歳:n=45)と高齢群(>70:n=54)に分類し、高齢群のp16が有意に高値で、肝切除術後再生率(術前/術後6ヶ月肝容積:VINCENT,Fuji Film)と有意に反比例した(R=0.6)。 2.肝星細胞の肝再生への影響の検討(肝星細胞単離による解析) 若年マウス及び加齢マウスから、濃度遠心分離でisolationした肝星細胞を用いて、肝再生関連因子(HGF, TGFβ)の発現を検討とするともに、若年・加齢肝星細胞の培養液(conditioned medium)を用いて、肝細胞を培養し、肝細胞増殖に与える影響を検討した。加齢肝星細胞では単離後24時間でHGF mRNAが低発現で加齢肝星細胞由来のConditioned mediumでは肝細胞増殖が低下しており(p<0.0001)、HGF濃度が低値であった。 さらに肝星細胞に小胞体ストレス誘導剤を用いてunfolded protein responseを誘導し、Bip発現をWestern blottingを用いて評価したところ、若年及び加齢肝星細胞のunfolding protein responseをtunicamycinを用いて誘導したがBip proteinの発現に差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス加齢肝における加齢遺伝子発現とともに肝切除術後再生能の低下、肝障害の増強を確認するとともに、cyclin低下にみられる増殖能低下の影響がp16やSMP30などの加齢遺伝子の関与を解明した。さらにヒト加齢肝においても同様にp16の術後肝再生能低下に関与することが示された。また肝星細胞単離による星細胞機能解析において、HGF発現低下が認められ、加齢肝星細胞機能不全による加齢肝再生能の低下が示唆された。しかしながら、小胞体ストレスに関しては若年・加齢肝星細胞による違いを認めず、異なる経路により機能低下をきたいしている可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
上記結果に加えて、今後は制御の可能性の探索とともに、加齢肝に対する若年肝星細胞投与による若返り効果の解析など、肝星細胞機能制御を中心に、さらに推進していく予定である。特にRho-kinase系を介したROSの制御やHDACシステムによる肝星細胞modulationの肝再生・傷害に与える影響についても検討する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画書作成時に購入予定であった消耗品の価格変動のため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越額は消耗品に使用予定である
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