研究課題/領域番号 |
26293292
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
昇 修治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30433288)
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研究分担者 |
山田 和彦 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 教授 (40241103)
佐原 寿史 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 准教授 (90452333)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 前臨床研究 / 免疫寛容 / 胸腺 / ミニブタ |
研究実績の概要 |
H26年度は、【目的1】宿主骨髄が胸腺の若年/退縮過程に果たす役割と胸腺主導性免疫寛容誘導機序の解明のStudy 1aを行った。我々はこれまでに、宿主の胸腺外の液性因子が胸腺の若年化過程を優位に支配することを示しているが、H26年度は、その過程における宿主の骨髄細胞の役割を明らかにする目的で、MHC確立ミニブタを用い、老年宿主に若年骨髄および胸腺VTL移植し、(1)その胸腺は加齢退縮するか?、更に(2)の移植胸腺内環境の変化は若年胸腺様かまたは加齢胸腺様かを検討した。月齢22か月の宿主の加齢萎縮した自己胸腺を摘出し、3か月齢のドナーからの骨髄により骨髄が90%以上置き換わったことを後(PAA抗体で確認)、若年MHC適合ドナーから胸腺を移植した。対照として、加齢宿主に骨髄移植なしで若年胸腺を行った。また組織学的対照として、若年自己胸腺、加齢自己胸腺、加齢ドナー胸腺を若年宿主に移植し若年化した胸腺、LH-RHアゴニストにより薬剤性に若年化させた胸腺を用いた。 この結果、若年骨髄移植を受けなかった加齢宿主へ移植された若年ドナー胸腺は、移植後2か月以降急激に萎縮退縮し、胸腺内CD1陽性胸腺細胞の減少を認めたのに対し、若年骨髄移植を受けた加齢宿主に移植された若年胸腺は、移植後3か月間殆ど萎縮を認めず、CD1陽性胸腺細胞も維持された。更に、胸腺の免疫染色によりIGFR1ならびにFOXN1陽性細胞は、加齢とともに減少することを確認した。加齢による両者の減少は、若年骨髄移植を受けた若年胸腺では認めなかったが、LH-RHアゴニストにより若年化させた胸腺では陽性細胞の増加を認めなかった。これらの結果はIGFR1とFOXN1は、若年胸腺の指標になり、更にそれら陽性細胞は若年骨髄由来であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、当初研究実施計画に記載した内容について、研究実績の概要に記載したように計画通りの実験を遂行し、また結果を得ることができた。平成27年度以降も、計画書に従い、円滑な研究を進めることが可能と考えられるため、おおむね順調に研究が進んでいるものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の継続として、平成26年度の結果を基に、平成27年度は、上記の加齢宿主の骨髄と胸腺を、若年ドナーからの骨髄と胸線に置き換えることにより、免疫寛容能が得られるかについて検討する。このため、MHC確立ミニブタを用い、老年宿主に若年骨髄および胸腺VTL移植し、胸腺が退縮した個体に対し(平成26年度の結果から胸腺は加齢退縮する)、骨髄および胸腺をこの個体に移植したのちに腎移植を行う。この結果から、免疫寛容誘導に対する胸腺および骨髄をより明確にすることをはかる。
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