研究課題/領域番号 |
26293293
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
笹田 哲朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), がんワクチンセンター, 部長 (70293967)
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研究分担者 |
田代 康介 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00192170)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 遺伝子変異 / 免疫反応 / 免疫療法 |
研究実績の概要 |
最近の医生物学の進歩により細胞癌化の原因となる遺伝子変化も比較的容易に解析することが可能となり、突然変異遺伝子の機能を制御する個別化治療が一般化されつつある。本研究の目的は癌細胞から同定された遺伝子変異に対する免疫応答を網羅的に解析し、遺伝子変異を標的とした免疫治療の可能性を科学的に検証することである。
平成26年度には、乳癌患者(5名)の癌性胸水より分離した癌細胞から遺伝子変異を同定する予定であったが、本研究に利用可能な癌性胸水を有する乳癌患者数が少なく、また、胸水より採取できる癌細胞数が予想以上に少ないなどの問題が生じた。従って、胃癌患者の摘出標本から癌細胞および非癌部正常細胞を分離し、癌細胞に特異的に認められる遺伝子変異を同定することとした。現在までに7名の胃癌患者から分離した癌細胞を用いて各癌細胞に特異的に認められる遺伝子変異を同定している。現在、同定した変異アミノ酸配列を含むペプチドを合成中であるが、平成27年度にはこの合成ペプチドを用いて、健常者および癌患者末梢血(各5-10名)に由来するリンパ球における免疫原性を網羅的に解析することにより、免疫原性の高いCTL抗原エピトープを同定する予定である。 また、癌種によって得られる解析結果が異なる可能性もあるために、平成27年度には大腸癌患者(5名)由来の癌細胞、末梢血を用いて同様の解析を実施する予定である。すなわち、大腸癌患者由来の癌細胞から同定された遺伝子変異に対する免疫反応を網羅的に解析し、免疫原性の高いCTL抗原エピトープを同定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度には、乳癌患者(5名)の癌性胸水より分離した癌細胞から遺伝子変異を同定する予定であったが、本研究に利用可能な癌性胸水を有する乳癌患者数が少なく、また、胸水より採取できる癌細胞数が予想以上に少ないなどの問題が生じた。従って、胃癌患者より分離した癌細胞を用いて遺伝子変異に対する免疫応答を網羅的に解析することとしたが、この変更のために当初の研究計画より達成度がわずかに遅れている。また、平成26年11月に研究代表者の所属研究機関が変更となったことも、達成度の遅れに影響した。
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今後の研究の推進方策 |
前述の理由のため、平成26年度には胃癌患者より分離した癌細胞を用いて解析を実施することとした。多少の遅れはあるが、計画通り、健常者および癌患者末梢血由来のリンパ球を用いて遺伝子変異に対する免疫反応を網羅的に解析する予定である。なお、平成27年度には大腸癌患者より分離した癌細胞を用いて同様の検討を実施する計画であるが、大腸癌組織もすでに入手中であり、今後は計画通りに研究が進められるものと期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度には、乳癌患者(5名)の癌性胸水より分離した癌細胞から遺伝子変異を同定する予定であったが、癌性胸水を有する乳癌患者数が少なく、また、胸水より採取できる癌細胞数が予想以上に少ないなどの問題が生じた。従って、胃癌患者より分離した癌細胞を用いて遺伝子変異を検討することとしたが、この変更のために当初の研究計画よりわずかに遅れが生じている。以上の理由から、当初平成26年度に予定していたペプチド合成およびサイトカイン・細胞培養用試薬等の購入の時期が遅れ、平成27年度に購入することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に当初予定していたペプチド合成およびサイトカイン・細胞培養用試薬等の購入を平成27年度に入ると直ちに予定している。平成26年度の計画の遅れを取り戻すべく、現在研究を加速しているため、「次年度使用額」および27年度分として請求した研究費と合わせて平成27年度中に使用する予定である。
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