研究課題
1)TPO製剤(エルトロンボパグ)の血小板増加モデル開発:前年度に引き続き、筑波大学生命科学動物センターにて作成したヒトCD110(TPO受容体)を有する遺伝子改変マウス(BAC DNA)の繁殖を行ったが、繁殖効率が悪く、実験系としての確立を断念した。2)血小板機能解析:2015年度に施行した慢性肝炎、肝硬変患者に対するエルトロンボパグの投与による肝機能・肝繊維化改善効果を検討したが、有意な改善は認めなかった。当研究室で実施した輸血血小板製材の該当患者への投与では、肝機能改善効果を認めたことからその理由として、血小板機能に差があることが考えられた。近年の報告から、血小板の老化に伴い糖鎖構造が起こることに着目し、各状態のヒト血小板機能、糖鎖構造の解析を進めた。その結果、ヒト活性化血小板では脱シアル酸が起きること、脱シアル化した血小板は癌、コラーゲンに対する凝集能が低下することを明らかとした。また、個体間の血小板でも同様に血小板の凝集能に違いがあることが明らかとなり、現在糖鎖構造と凝集能の関連性について解析を行った。3)エルトロンボパグの抗腫瘍効果の検討:前年度においてエルトロンボパグの持つ鉄キレート作用により、in vitroの実験系でヒト肝細胞癌細胞株に対する抗腫瘍効果を明らかとした。4)ヒト臨床試験:この研究結果より、ヒト探索的臨床試験のプロトコールを作成した。他の切除術、焼灼療法、動脈塞栓療法、ソラフェニブ投与の適応がない肝硬変を伴う患者、血小板数が7万/μl未満の患者を対象とし、目標患者数は10例である。倫理審査委員会の承認を得て、医師主導臨床試験を2016年11月より開始した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
J Gastroenterol Hepatol
巻: 31(4) ページ: 745-751
Tohoku J Exp Med
巻: 240(4) ページ: 277-279
Hepatol Res
巻: 46(7) ページ: 697-706
10.1111/hepr.12607
World J Gastroenterol
巻: 22(15) ページ: 4057-4061
10.3748/wjg.v21.i45.12778