研究課題
予後不良の消化器癌である食道癌に関し、手術標本、郭清リンパ節、内視鏡生検検体から次世代シーケンサーを利用した全ゲノムシークエンスおよびエクソームシークエンスを行い、食道癌における原発巣およびリンパ節転移における遺伝子配列とその変異を明らかにする。これまで多施設での食道癌抗癌剤治療効果遺伝子診断キットの開発研究によりDNAマイクロアレイ解析を行っており、これら遺伝子群を中心に解析を進める。同時にヒストンのアセチル化、miRNAなどエピジェネティクス制御についても解明することにより、癌転移機構の解明および抗がん剤、放射線治療感受性について解明し、個々の状態にあった適切な治療を行う個別化医療の一助となる新たな分子、その制御について明らかにすることにより新たな分子治療を提案する。食道癌切除標本および同一標本における正常食道粘膜から抽出したDNAそれぞれの全ゲノム配列を決定した。食道扁平上皮癌におけるエクソームシーケンスにより、これまでTP53遺伝子をはじめとする遺伝子変異が報告されているが、今回の解析においてもTP53の変異が最多であり80%を超える極めて高い頻度であった、次いでZNF750に変異が多いことを確認した。アレル特異的発現について、Loss of Heterozygosityの影響を排除するためにCopy number variationの解析を追加し、食道扁平上皮癌においてはそれぞれの変異位置においてDNAとRNAの変異アレルの検出頻度を比較すると、多くの症例で変異をもつアレルが優位に発現していることを解明し、食道癌細胞ではアレル特異的な遺伝子発現が存在し、さらに癌の発生、維持に有利な遺伝子変異をもつアレルを発現している細胞が選択されている可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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