研究分担者 |
高野 重紹 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20436380)
久保木 知 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50571410)
吉富 秀幸 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60375631)
加藤 厚 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (70344984)
清水 宏明 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272318)
大塚 将之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90334185)
賀川 真吾 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90507302)
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研究実績の概要 |
1)膵癌患者組織サンプルの癌部、非癌部のprotein profilingを2次元電気泳動(2-DE)によって比較し、2倍以上の癌高発現候補蛋白として11の蛋白が同定された。その内5種類の蛋白(Vimentin, Annexin A1, Endophilin B2, PD-ECGF, Cofilin-1)がwestern blotで癌での高発現が確認され、Cofilin-1は9sample全てで高発現であった。 2)組織免疫染色ではCofilin-1発現は59例の膵癌中44例(75%)に高発現を認め、有意に血行性転移が高かった(P=0.0083)。 3)2種類の膵癌細胞株でCofilin-1発現を特異的siRNAにより抑制すると、有意に遊走能の低下を認めた。さらに、培養上清中のCofilin-1の発現を確認した。 4)Cofilin-1の血中への逸脱による血管内に循環する抗原(候補蛋白)、その抗原に対する自己抗体、さらにはそれらの複合体(抗原抗体複合体:Immune-complex(IC))を検出するsandwich ELISAの系をそれぞれ作製し、その測定値が再現性のあるものかを検討した。最初に試みた抗原に対するELISA測定系では、再現性の得られる測定系は確立出来ず、自己抗体に対する測定系でも安定した値は得られなかった。それに対しICに対するELISAでは、安定した再現性が得られ実験系を確立した。 5)臨床応用に重要な膵癌の血清biomarkerの確立として、血中のCofilin-1 ICの存在量測定および血中マーカーとしての感度・特異度の検定を行った。まずcofilin-1の膵癌と非癌サンプル(健常人および膵炎)においての測定値の違いを検討した。すると、膵炎患者検体を含めた3群間において、膵癌では健常人、膵炎と比較し、cofilin-1の血清中IC値は有意に高値であった。さらに、膵癌の進行度が進むにつれて、血清IC値は上昇し、Kaplan-Meier解析では中央値で高低値群の2群に分けると、高値群では有意に予後不良であった(p=0.039)。
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