研究課題
本研究は①大腸癌発癌過程(前癌病変から癌病変)にて特異的に発現するmicroRNAを網羅的に解析し、分泌されたそれらのmiRNAsが血清で検出できるか否かを検証することで、この癌発生過程を踏まえた散発性大腸癌の血清早期診断マーカーを同定することである。②他施設協同研究にて集積終了した内視鏡施行前の患者血清を用いた前向き検証試験を行い、同定したmiRNAsの診断マーカーとしての精度検定を行うことである。①に関してはすでに発癌過程にて特異的に発現し、さらに血清中に分泌するものを複数個同定している。それらに関しても他施設で集めた血清を用いて検証実験を開始している。選択したmiRNAsの中で、miR-1290は大腸癌患者において血清中で発現が有意に高くなり、早期診断の可能性を示唆したほか、予後予測を可能とする予後マーカーとしても有用であること、また組織におけるmiR-1290発現が、癌進展機序に深く関与することを報告した。さらに他のmiRNAsに関しても、血清中と血清エキソソーム中におけるmiRNA発現レベルを同一患者血清で評価し、miRNA特異的に血清ならびに血清エキソソーム分画において発現変化が起こり、いずれも大腸腺腫検出において有用な早期診断マーカーとなり得ることを報告した。またさらに血清中エキソソーム分画に存在するmiRNAs発現を網羅的に解析するうえで、癌細胞より特異的に分泌されるエキソソームに着目し、大腸癌細胞ならびに正常上皮細胞より分泌されたエキソソームの抽出をおこない、網羅的蛋白プロファイリングを施行した。その結果、80を超える蛋白を癌細胞より分泌されたエキソソーム特異的に発現上昇を示すことが確認され、これらのなかで6つの蛋白が、パブリックデータベースを用いた解析においても大腸癌組織特異的に発現増加を示すことが判明した。
3: やや遅れている
エキソソームの指摘抽出方法の開発や、その同定方法の検討、さらにはそれらの基礎実験にやや時間を要したため。
今後は現在、同定された新規マーカーを用いた、スクリーニング方法の開発、多数検体を用いたvalidationと、それをもちいることでさらなるエキソソーム内miRNA発現変化を評価していく予定としている
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
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