研究課題
本研究に関してはすでに発癌過程にて特異的に発現し、さらに血清中に分泌するものを複数個同定している。それらに関しても他施設で集めた血清を用いて検証実験を開始している。選択したmiRNAsの中で、miR-1290は大腸癌患者において血清中で発現が有意に高くなり、早期診断の可能性を示唆したほか、予後予測を可能とする予後マーカーとしても有用であること、また組織におけるmiR-1290発現が、癌進展機序に深く関与することを報告した。さらに他のmiRNAsに関しても、血清中と血清エキソソーム中におけるmiRNA発現レベルを同一患者血清で評価し、miRNA特異的に血清ならびに血清エキソソーム分画において発現変化が起こり、いずれも大腸腺腫検出において有用な早期診断マーカーとなり得ることを報告した。本研究に付随して早期診断のみならず、遠隔転移進展を診断できるmiR-203を同定し、さらにこのmiRNAは血中濃度を測定すると遠隔転移診断のみならず、サルコペニアを診断可能となることを明らかにしたほか、さらにmiR-203は骨格筋細胞をSurvivinを介してアポトーシスに誘導することを報告した。またさらに血清中エキソソーム分画に存在するmiRNAs発現を網羅的に解析するうえで、癌細胞より特異的に分泌されるエキソソームに着目し、大腸癌細胞ならびに正常上皮細胞より分泌されたエキソソームの抽出をおこない、網羅的蛋白プロファイリングを施行した。その結果、80を超える蛋白を癌細胞より分泌されたエキソソーム特異的に発現上昇を示すことが確認され、これらのなかで6つの蛋白が、パブリックデータベースを用いた解析においても大腸癌組織特異的に発現増加を示すことが判明した。しかしながら、エキソーム表出蛋白を標的とした測定法をELISA法の変法でこころみたが、その蛋白量が極めて少ないことからその測定系には相当量の血清がないと検出限界以下となることがわかった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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