研究課題
癌幹細胞は癌の増殖進展や癌治療抵抗性に重要な役割を果たすことが示唆されている。オートファジーは細胞内成分の分解再利用機構であり、低栄養や低酸素などのストレス環境により誘導される。オートファジーは癌細胞において活性化しており、生存に強く関わることが報告されているが、癌幹細胞におけるオートファジー機構については明らかにされていない。本研究は癌幹細胞におけるオートファジーの意義を明らかにすることを目的とした。研究材料として、胃癌細胞株OCUM-2MD3およびOCUM-12を用いた。FACSにて同定されるSide Population(SP)細胞分画に癌幹細胞が多く存在することらから、胃癌細胞株のSP分画をそれぞれソーティングし、オートファジー分子(LC3A、LC3B)の発現を検討した。SP細胞をストレス環境(グルコース欠乏、アミノ酸欠乏、血清欠乏)で培養し生存率を検討した。さらに、オートファジー阻害剤(クロロキン)が癌幹細胞増殖能に及ぼす影響やSP含有率に及ぼす影響を検討した。その結果、SP細胞はオートファジー分子(LC3A、LC3B)発現が亢進していた。SP細胞は通常細胞株と比較し、ストレス環境(グルコース欠乏、アミノ酸欠乏、血清欠乏)に有意に高い生存率を示した。オートファジー阻害剤によりSP分画は減少し有意に増殖能が抑制された。以上のことから、ストレス環境における癌幹細胞の幹細胞性維持にはオートファジーが関与していた。オートファジー阻害剤は癌の増殖進展や治療抵抗性抑制に有用であることが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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