研究実績の概要 |
自家静脈グラフト内膜肥厚を予測するバイオマーカーの探索を目的として、単施設前向き臨床研究「自家静脈グラフト狭窄発生を予測する術前リスク因子の解析研究:Prospective clinical study for prediction of vein graft intimal hyperplasia( Predict IH study)]」を立ち上げ、本学倫理委員会承認のもと、2015年1月より患者登録を開始し、現在、12例が本臨床研究に登録し、術前血液や余剰静脈片の術中採取などの検体保存および各種画像情報保存を行い、予後を観察中である。 術前測定項目としては、一般血液検査、各種ストレス指標(副腎ホルモン、炎症マーカーなど)を測定するとともに、血漿および血清を凍結保存し、酸化ストレス指標、炎症性サイトカイン、内皮障害に関連する可能性のあるtoxic AGE, RAGE, LOX-1, HMGB1などの測定を行うこととしている。採取した静脈余剰片については、ホルマリン固定標本による構造変化の評価(移植前静脈の中膜線維化や内膜肥厚程度)を行うとともに、RNAを採取しており、今後、eNOS, MCP-1, SIRT1, MAPKAPK2, FHL5などのmRNA解析やmiroRNA解析を行う予定とし、解析にかかわる機器(酸化ストレス測定器)や試薬の購入をおこなって準備している。 なお、研究開始に先だって海外の学会で情報収集を行い、その結果、静脈へのAGE沈着もIH発生予測に重要ではないかという考えに至り、皮下細血管へのAGE沈着が、静脈グラフトへのAGE沈着を推測する指標になるかどうかを明らかにする目的で、AGE Readerという皮下細血管へのAGE沈着を測定する装置を購入し、術前にAGE沈着測定を行って、そのデータについても蓄積しているところである。
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