研究課題/領域番号 |
26293309
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
東 信良 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30250559)
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研究分担者 |
内田 大貴 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80422038)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内膜肥厚 / 静脈グラフト / バイオマーカー / 末梢動脈疾患 / 重症下肢虚血 / 末梢動脈バイパス / グラフト狭窄 |
研究実績の概要 |
下肢末梢バイパス手術に用いる静脈グラフトの内膜肥厚発生に関する前向き観察研究を進行中であり、主要評価項目および副次評価項目を観察しながら、研究の主目的である静脈グラフト内膜肥厚発生を予知するバイオマーカー探求に向けて、患者登録を進め、データの収集中である。 1.臨床研究症例登録の進捗状況:2015年1月に第一例目の症例登録を行って以降、症例登録を重ねており、2017年3月までに115症例が登録されており、当初目標症例数まであと35例となり、当初目標症例数を年度内に達成可能な見通しとなっている。 2.臨床評価項目・血清検査の進捗状況:基本的身体情報、下肢局所情報(WIfI分類)、併存症、生活習慣病歴、一般血液検査、栄養状態指標、糖尿病関連指標については、随時評価・検査を実施し、データを蓄積している。また凍結血漿サンプルから、適時、酸化ストレス指標(dROM, BAPテスト)、ストレスホルモン関連(ステロイドホルモンレベル、カテコラミンレベル)、炎症性ストレス指標(各種サイトカイン)を測定して、データを蓄積している。 3.静脈材料の発現遺伝子解析の進捗状況:静脈の質的差異と内膜肥厚発生の関連を明らかにする目的で、術中余剰静脈片が出た場合に、RNA抽出を行い、それらを保存している。抽出RNAの質にばらつきが大きく、RNA抽出までの静脈採取・保存・抽出条件などを工夫して調整を行って、安定した質を確保できるようになり、今後解析に入る予定である。 4.以上の蓄積データから、静脈グラフト内膜肥厚発生に関わる諸因子を明らかにするとともに、内膜肥厚発生グラフトと非発生グラフトとの間でバイオマーカー候補となりうる血清蛋白・ホルモンあるいは発現mRNAやマイクロRNAを絞り込んでゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.臨床症例登録数について:前回やや遅れているとコメントしたが、その後症例登録数は比較的順調に推移して、遅れを取り戻しつつある。しかし、下記2に示した理由から、発現RNA解析が可能な症例数が限られることから、できれば当初予定症例数150例よりもできるだけ多くの症例を今年度前半にエンロールできればと考えている。 2.発現RNA情報の収集状況:前回報告したとおり、抽出RNAの質のばらつきに苦慮し、手術中のグラフト採取開始から余剰片発生まで時間、抽出条件など、抽出RNAの質を確保するのに時間を要したが、条件調整の結果、安定したRNA採取が可能となり、着実にデータ収集を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
1.症例登録の継続:2017年10月までに最低でもあと35例(全体で150例)を登録する。登録された症例については、2017年11月以降にグラフト予後(含むグラフト内膜肥厚発生の有無・時期など)および生命予後を評価して、下記血漿データや発現RNA解析データが収集を終えるのを待つ。 2.保存血漿検体の評価・解析:測定キット使用や外注などにより検査を進めているが、適時、試薬等を買い増して、予定した測定項目に欠損値ができるだけ出ないよう、測定にする。データがより充実したものになるか検討している 3.余剰静脈材料からの発現RNA抽出:抽出RNAの質をチェックしながらcDNA化してbankingしており、この方針で、検体を収集し、マイクロアレイや個別解析に備える。 以上の患者情報、血漿検体、抽出RNAから得た情報を2018年11月以降に解析し、静脈の質やRNA発現に影響する血漿中のバイオマーカー、および移植静脈グラフト内膜肥厚発生を予測しうるバイオマーカーを探索する。
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備考 |
基礎研究血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野のご案内 https://www.asahikawa-med-surgery.jp/study/kiso-01
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