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2017 年度 実績報告書

臨床標本遺伝子解析結果に基づいた静脈グラフト内膜肥厚予測のバイオマーカー開発

研究課題

研究課題/領域番号 26293309
研究機関旭川医科大学

研究代表者

東 信良  旭川医科大学, 医学部, 教授 (30250559)

研究分担者 内田 大貴  旭川医科大学, 医学部, 助教 (80422038)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード内膜肥厚 / 静脈グラフト / バイオマーカー / 末梢動脈疾患 / 重症下肢虚血 / 末梢動脈バイパス / グラフト狭窄
研究実績の概要

下肢末梢バイパス手術に用いる静脈グラフトの内膜肥厚発生に関する前向き観察研究を行い、主要評価項目および、副次評価項目を観察しながら、研究の主目的である静脈グラフト内膜肥厚発生を予知するバイオアーカーに向けて、患者登録をし検体を収集した。
1.臨床研究症例登録の進捗状況:当初目標症例数には到達している。
登録グラフト数は140本であり、うちRNA抽出に成功したものが85本であった。85本の内訳は、男性54本、女性31本(女性割合36.5%)、非透析49、透析36本で、糖尿病60本、非糖尿病が25本であった。
2.臨床評価項目・血液検査の進捗状況:一般血液検査や炎症マーカー、副腎ホルモン、酸化ストレス、脂質分画、内服薬情報などの術前基礎情報とともに、下肢バイパス術後のバイパスグラフトの狭窄発生や下肢予後情報(潰瘍の治癒状況や大切断の有無等)が収集済みである。
3.静脈材料の発現遺伝子の解析進捗状況:遺伝子処理は最近2か月の症例でまだ完了していないので、それを待って、解析を開始する予定である。
4.以上の蓄積データから静脈グラウト内膜肥厚発生にかかわる諸因子を下記らかにするとともに、内皮厚膜発生グラフトと非発生グラフトとの間でバイオマーカー候補となりうる血清蛋白・ホルモンあるいは発現mRNAやマイクロRNAを絞り込んでいく予定である。なお、臨床的アウトカムとしては、内膜肥厚発生率に男女間で有意差を認めており、女性で足部炎症の高い症例で内膜肥厚が高率に発生していることから、特に女性で炎症に過剰反応を示す何らかの転写因子等が存在する可能性も示唆されており、男女を分けた解析手法を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.臨床症例登録数について:前回やや遅れているとコメントしたが、その後症例登録数は比較的順調に推移し、140例の登録を済ませており、ほぼ当初予定例数が5月中に達成できる状況である。
2.発現RNA情報の収集状況:当初採取RNAの質不良を解決できず時間を要したが、2年目以降安定したRNA採取が可能となっている。全ての検体のRNA収集が終了次第、発現遺伝子解析を進める。

今後の研究の推進方策

解析ステップ1:臨床成績からの解析。登録した140本のグラフトのうち、観察期間中に内膜肥厚(IH)を発生したグラフトと発生していないグラフトを比較し、多変量解析にてIH発生に関わる因子を今回収集したデータの中から抽出する。現在までの解析で、男性に比べて女性でIHの発生率が2倍以上と優位に効率になっていることが判明し、多変量解析で女性グラフトでのみ術前足部炎症の程度がIH発生に有意に関与していることが判明している。
解析ステップ2:静脈片発現遺伝子解析によるIH発生促進遺伝子の追求。上記ステップ1からえられた臨床的推論から、男性と女性でIH発生のバイオマーカーが異なる可能性が示唆されたことを受け、男性と女性は別々に発現遺伝子の比較を行う必要があると考え、男性において、IH非発生グラフトとIH発生グラフトの発現遺伝子比較を糖尿病や透析の有無を勘案して比較する。女性グラフトについても同様の発現遺伝子比較を行う。
解析ステップ3:これまでIHに関わると言われていた遺伝子と本研究で候補に挙がった遺伝子との関連性の考察。上記ステップ2で候補として浮かび上がった遺伝子群について、これまで文献的にあるいは動物実験で内膜肥厚との関連の有無や、教室で見出してきたIH関連遺伝子との関係を調査する。さらに、実際にIHを起こした際に標本を採取しえた数例について、本研究で得られたIH候補遺伝子が、そのIH組織に存在しているかどうかを検証するなどして、IH発生・促進遺伝子候補を絞っていく。
以上のように、IH危険因子とIH発生・促進遺伝子候補を絞ってゆき、最終的に本研究の目標である術前にIH発生を予測するバイオマーカーを提案するとともに、これまで全貌がまだ明らかにされていないIHの分子生物学的機序を解明することで、予防策を打ちたてる次なる研究へと発展させる。

次年度使用額が生じた理由

症例登録数の確保に時間がかかり、データ解析が今年度中に終わらなかったっため次年度にはデータ解析を主目的とし、使用する

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of paramalleolar and inframalleolar bypasses in dialysis- and nondialysis-dependent patients with critical limb ischemia.2018

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi S, Sasajima T, Inaba M, Uchida D, Kokubo T, Saito Y, Koya A, Uchida H, Azuma N
    • 雑誌名

      Journal of vascular surgery

      巻: 67(3) ページ: 826-837

    • DOI

      10.1016/j.jvs.2017.07.116

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Recent Progress of Bypass Surgery to the Dialysis-Dependent Patients with Critical Limb Ischemia.2017

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Azuma,Shinsuke Kikuchi,Hiroko Okuda,Keisuke Miyake,Atsuhiro Koya
    • 雑誌名

      Annals of Vascular Diseases

      巻: 10(3) ページ: 178-184

    • DOI

      10.3400/avd.ra.17-00076

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Gender difference of distal bypass graft patency:relationship between preoperatove foot infection and graft stenosis2018

    • 著者名/発表者名
      Hitoko Okuda,Atsuhiro Koya,Keisuke Miyake,Shinsuke Kikuchi and Nobuyoshi Azuma
    • 学会等名
      第46回日本血管外科学会
    • 国際学会
  • [学会発表] Predictive Equation of Graft Flow in Distal Bypass Grafting in Critical Limb Ischemia2017

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Miyake, MD, Shinsuke Kikuchi, MD, Hiroko Okuda, MD, Atsuhiro Koya, MD, Nobuyoshi Azuma , MD
    • 学会等名
      2017 Vascular Annual Meeting San Diego
    • 国際学会
  • [学会発表] GENDER-RELATED DIFFERENCES OF VEIN BYPASS GRAFT INTIMAL HYPERPLASIA AND CLINICAL OUTCOMES FOR CRITICAL LIMB ISCHEMIA;A PROPENSITY MATCHED ANALYSIS2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Okuda,Shinsuke Kikuchi,Keisuke Miyake,Atsuhiro Koya,Yukihiro Saito,Nobuyosi Azuma
    • 学会等名
      The European Society for Vascular Surgery 31st Annual Meeting
    • 国際学会
  • [備考] 基礎研究血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野のご案内

    • URL

      https://www.asahikawa-med-surgery.jp/study/kiso-01

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公開日: 2018-12-17  

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