研究課題
リンパ浮腫は未だに根治的治療法のない難治疾患である。治療方法を開発するために不可欠な、人の病理に酷似したに自生リンパ浮腫の動物モデルの開発が急務である。我々は、本プロジェクトにおいて、ヒトの二次性リンパ浮腫に病理的に酷似した経過をたどる動物モデルの開発し、それを検証した結果、モデル動物患肢の浮腫を発生し、その後に、組織の脂肪化、線維化を進展させる動物モデルの作製に成功した。次に我々はリンパ浮腫慢性期における組織線維化のメカニズムについて検討を行った。本研究で確立した新規の動物モデルではヒトと同様に組織の線維化が進展することが判明したので、そのメカニズムの解明が治療法の開発の鍵を握ると考え、中でも線維芽細胞並びに、筋線維芽細胞に着目し、これらの細胞のコラーゲン産生量と、そのkey mediatorであるTGF-βについて検討を行った。動物モデルの組織から線維芽細胞並びに、筋線維芽細胞を採取して培養してin vitro の検討から、動物モデルでは通常の足阻止気には見られない筋線維芽細胞が造成しており、活発にコラーゲン産生を行なっていることが判明した。この筋線維芽細胞は通常の線維芽細胞にTGF-βを投与すると筋線維芽細胞に変異することが判明した。このことからTGF-βが線維化のkey moleculeであることが判明した。そこで、我々はω3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)のTGF-β抑制効果に着目して、筋線維芽細胞の培養系にEPAを投与したところ、筋線維芽細胞のコラーゲン産生を抑制できた。このことを同様の手法で二次性リンパ浮腫のステージ3の患者から皮膚生検で得られた線維芽細胞並びに、筋線維芽細胞の培養系で検討した。その結果、EPAは患者筋線維芽細胞でも同様にコラーゲン産生を抑制し、将来のリンパ浮腫治療薬としての可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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