研究課題
イヌ肺移植モデルを用いて、温虚血障害を受けたドナー肺がサーファクタント補充により回復し得るかを検討した。ビーグル犬に対してKClを用いて心停止を導入し、室温で安置した。ビーグル犬を生理食塩水の吸入を行う生食群(n = 7)とサーファクタント群(n = 5)の2群に無作為に分け、4時間後の換気再開と同時に吸入を施行した。5時間冷保存の後、左肺全摘・片肺移植を行い、ドナー肺を再灌流した。再灌流45分後に右肺動脈を遮断し、再灌流240分後までの移植肺の評価を行った。温虚血中の吸入後、生食群の動肺コンプライアンスは変化しなかったが、サーファクタント群では有意に上昇した。再灌流後、生食群2例が75分後に重篤な肺水腫により死亡したが、サーファクタント群は4時間後まで全例生存した。再灌流4時間後の動肺コンプライアンス、肺酸素化能、A-aDO2、肺内シャント率、肺組織湿乾重量比はいずれもサーファクタント群で有意に改善した。肺組織中のATP含量はサーファクタント群で有意に高値であった。気管支肺胞洗浄液中のIL-8、TNF-αおよびタンパク量は共にサーファクタント群で有意に低値であった。MPO活性はサーファクタント群で有意に低値であった。組織学的に、サーファクタント群は生食群に比して、間質の浮腫・出血、好中球浸潤は軽度であった。結論として、温虚血中のサーファクタント吸入は、心停止ドナーにおける肺障害を緩和すると考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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