研究課題/領域番号 |
26293320
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松村 明 筑波大学, 医学医療系(副学長), 副学長 (90241819)
|
研究分担者 |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
山本 哲哉 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30375505)
鶴淵 隆夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70778901)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70383643)
中井 啓 茨城県立医療大学, 保険医療学部, 准教授 (50436284)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / 加速器中性子線源 / 悪性脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
予定していた中性子線源のビーム生成装置作成が遅延しており、中性子照射実験には至らなかった。 昨年から継続している中性子照射を用いない生物学的基礎実験を行った。ホウ素化合物の腫瘍幹細胞への取り込みに関する知見として、腫瘍幹細胞自体は代謝が遅いため腫瘍化することでf-BPA取り込みが増大することが確認された。腫瘍幹細胞は悪性腫瘍組織の中で生き残ることにより再発の温床となる。したがって今後腫瘍幹細胞をターゲットとしたDrug Delivery Systemの開発が望まれる。さらに腫瘍細胞内へのホウ素化合物分布を可視的にとらえることに関してPIXE/PIGE systemを用いて細胞実験および動物実験で腫瘍細胞および腫瘍組織におけるホウ素分布の基礎的知見を得た。昨年から継続して加速器線源を開発しているノボシビルスクブドカー核物理研究所において細胞実験の一部を天然ホウ素化合物を用いて行い、照射条件に関して検討を行った。 現時点で病院内併設可能型BNCT用加速器中性子源装置の実証機がほぼ完成し、悪性脳腫瘍に対する第Ⅰ相治験の実施に向けて、物理特性測定及び生物照射実験(脳腫瘍由来の細胞を用いた)を行い、BNCT用加速器中性子源による治療効果の検証・分析を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
中性子捕捉療法に利用可能な加速器中性子線源の試作機による検証が遅れているため、加速器中性子源の完成が遅延しており、ビーム性能評価、生物学的特性の取得がいずれも未完である。病院内併設可能型BNCT用加速器中性子源装置実証機がほぼ完成したところであるが、いまだ実験のための熱中性子源としての原子炉利用が国内で行えていない。このため脳腫瘍由来の細胞を用いた生物照射実験ができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
中性子線が利用できなかったために生じた生物照射実験(脳腫瘍由来細胞を用いた)や物理特性測定実験の遅れを補うために、ビーム条件が整い次第、物理測定、生物学的測定を並行して実験スケジュールを密に行うことで研究を推し進めていく予定である。また、悪性腫瘍に対してアミノ酸PETを用いた臨床研究を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は国内で中性子照射実験ができなかったため、海外実験に関わる費用、中性子照射を伴わない生物学的基礎実験に関わる費用、報告のための費用支出のみとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
実験可能な環境を早急に整備し、予定していた物理計測および放射線生物学的実験を行う。
|