研究実績の概要 |
【目的】グリオーマ幹細胞の増殖抑制効果を有する既存医薬品をスクリーニングし、膠芽腫に対する新規化学療法剤として有望と考えられる既存医薬品の探索を試みた【方法】サブタイプの異なる2種類のグリオーマ幹細胞株(Proneural type, Mesenchymal type)を使用した。1,301種類の既存薬剤によるグリオーマ幹細胞の増殖抑制効果を調べるために非接着384穴プレートを用いたWST増殖アッセイを行った。既存薬剤を3種類の濃度で振ってアッセイを行うことで濃度依存性の効果を検討した。陽性コントロールとしてPI3K/mTOR阻害剤であるNVP-BEZ235を使用した。引き続き4種類の膠芽腫細胞株(U87, U251, T98G, SNB19)を用いて候補薬剤の増殖・浸潤抑制効果をAlamarBlue増殖アッセイ、in vitro遊走・浸潤アッセイにより観察した。【結果】89種類の薬物が様々な程度のグリオーマ幹細胞増殖抑制効果を示した。このうちこれまでの論文報告から新規性の高い薬剤を36種類選別し、両サブタイプに対して濃度依存性かつ低濃度で強い効果を示す3種類の薬剤を選択した。このうち1種類の薬剤により、すべての膠芽腫細胞株に対して濃度依存性の増殖・浸潤抑制効果を確認した。【結論】既存医薬品の中から有望な抗グリオーマ幹細胞薬を抽出した。動物実験を経て早期に臨床試験を計画し、膠芽腫に対する新規化学療法を確立したいと考えている。
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