研究課題/領域番号 |
26293327
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90209916)
|
研究分担者 |
中村 浩之 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30274434)
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
野々口 直助 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70388263)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脳放射線壊死 / 血管内皮増殖因子 / ホウ素中性子捕捉療法 / ベバシズマブ / HIF-1 alpha |
研究実績の概要 |
1)脳放射線壊死モデルラットの作成:Wister ラットに小動物放射線治療装置を用い65Gyを照射することにより、およそ5-6ヶ月の経過ですべてのラットで脳放射線壊死を作成することができた。これらは経時的にMRIを撮像し壊死巣の発現時期も検討できた。 2)ホルマリン固定、パラフィン包埋した標本を作製し、組織学的に壊死の発現を検討し、各候補蛋白(HIF-1, VEGF等)の発現を免疫組織染色で検討するとともに、一部新鮮凍結標本よりRT-PCRを用いて候補蛋白のmRNAの発現も検討した。 3)当教室では豊富なヒト脳放射線壊死摘出標本を有し、それを用いた免疫組織染色により、上記分子の同定と脳放射線壊死の病態関与を明らかにしてきた。preliminaryな検討では、上記分子以外でも、ことにPDGFおよびその受容体PDGFRが血管新生や炎症に関与する可能性をつかんでいる。 4)脳放射線壊死モデルラットを用いた、ミクログリア除去およびHIF-1阻害薬、NSAIDを用いた治療研究のpreliminaryな実施を行い、予備実験として薬剤のラットでの毒性も検討した。 5)臨床症例(再発悪性グリオーマ)に対してホウ素中性子捕捉療法(BNCT)後のBV投与時期の検討:本学では全国から再発悪性グリオーマがBNCTを目的として紹介され症例が蓄積している。BNCT後の脳放射線壊死後にBVを用いているが、昨年よりBNCT直後よりBVを使用し、pseudoprogression, 放射線壊死の発生頻度と予後に対照群との差が出るか調査をおこなっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究概要のうち、1)-4)に関してはほぼ予定通り研究が進行している。 ただし、5)に関しては国の施策により、各地の原子力発電と同様に、医療用原子炉の稼動にも制限が加えられており、再稼動の認可待ちの状態であり、昨年度は3例の患者に適応できたのみである。この部分をマイナス評価としている。
|
今後の研究の推進方策 |
脳放射線壊死モデルラットを用いた、ミクログリア除去による病態解明と治療研究:HIF-1αおよびCXCR4陽性のミクログリア(および末梢血由来のマクロファージ)がヒト脳放射線壊死の主たる担い手であることが判明している。上記1,3)により、ミクログリアの集簇時期を検討し、その1-2週前から、抗体による同細胞の除去を計る。その後経時的なMRIと病理標本作製により、放射線壊死の各分子動態の発現解析とミクログリアの除去 の確認、壊死巣出現に対する治療効果の検討を行う。 6)脳放射線壊死モデルラットを用いた、HIF-1α阻害薬、NSAIDを用いた病態解明と治療研究:HIF-1α阻害剤としては阻害機構の異なるYC1およびGN44028およびNSAIDを腹腔内に投与し、その後経時的なMRIと病理標本作製により、放射線壊死の各分子動態の発現解析壊死巣出現に対する治療効果の検討を行う。HIF-1α阻害剤の投与時期は上記1)、3)の研究によりその発現の2週間前より週に2度投与を行う予定である。 4)臨床症例(再発悪性グリオーマ)に対してホウ素中性子捕捉療法(BNCT)後のBV投与時期の検討:京大原子炉の再開を待って上記5)の研究を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りに執行し、若干生じた未使用額は次年度の研究費に充当することが効率的であると判断したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究の進捗状況により次年度に動物照射を予定しているため、未使用額はその費用に充てる。
|