研究実績の概要 |
平成26年度の脊椎疾患についての疫学成果としては、959名の脊椎MRI検診データの解析より、頚部脊柱管狭窄を有する一般住民集団における頸髄症の有病率を解明して論文報告し(Spine J 14:2811,2014.)、1690名の一般住民集団におけるDiffuse idiopathic skeletal hyperostosis (DISH)の有病率を解明して論文報告し(J Bone Miner Metab 33:221, 2015.)、変形性腰椎症の発生率・進行率について報告した(Mod Rheumatol 24:657, 2014.)。他の運動器疾患では、変形性膝関節症の疼痛の出現・改善と日常生活障害との関連(Mod Rheumatol 24:966, 2014.)、血清ビタミンD濃度が3年後の骨粗鬆症、変形性腰椎症の発生に及ぼす影響(Osteoporos Int 26:151, 2015.)を明らかにし、メタボリック症候群の構成要素である糖脂質代謝異常と変形性膝関節症、変形性腰椎症、骨粗鬆症との関連(Mod Rheumatol 20:1, 2014.)を明らかにした。一方、運動・移動能力と障害との関係では、地域住民における要介護移行率の解明を行い、歩行速度や椅子立ち上がり速度などの運動速度、また握力や膝伸展筋力などの筋力が将来の要介護移行を予測する指標となることを明らかにし(Geriatr Gerontol Int 14:695, 2014.)、日常生活機能における移動障害関連スコアも要介護移行の予測指標となることを明らかにした(J Orthop Sci 19:489, 2014.)。このように平成26年度は、脊椎疾患をはじめとする運動器疾患、運動器障害、併存疾患に関する多くの疫学研究成果について論文報告を行うことができた。
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