研究課題
平成28年度の研究成果としてはROADスタディで設定した一般住民集団の追跡調査を実施し、東京都と和歌山県の地域住民の疫学調査研究を実施し、データの収集を行った。収集したデータは整理し、計測等を行い、データベース化して大規模縦断データベースの構築作業を行っている。構築したデータベースの解析研究としては、疫学調査を行った一般住民集団における802名の脊椎MRI検診データベースを解析し、硬膜管横断面の面積と腰痛との関係を検討した。T2強調画像においてL1/2からL4/5レベルの各硬膜管横断面積最小値の平均値は、集団全体で117.3平方ミリメートルであった。最小硬膜管横断面積を四分位により、4群に分類し、因子調整済ロジスティック回帰分析を行った結果、最小硬膜管横断面積が4群の中で最小の群は腰痛と有意に関連(オッズ比1.78、95%信頼区間1.13-2.80)していることを明らかにして論文報告した(PLoS One 11:e0160002, 2016)。また、サルコペニア発生率の解明および骨粗鬆症が将来のサルコペニアの危険因子となるかを明らかにする目的で、60歳以上の一般住民集団1099人について4年間の追跡研究を行った。サルコペニア(アジアの診断基準)の有病率は8.2%(男性8.5%、女性8.0%)で、サルコペニアであった者の中で骨粗鬆症(WHOの診断基準)であった者は57.8%(男性21.9%、女性77.6%)であり、サルコペニアの発生率は年間2.0%(男性2.2%/年、女性1.9%/年)であった。また因子調整済み多変量解析の結果、骨粗鬆症の存在はサルコペニア発生と有意に関連し(オッズ比2.99、95%信頼区間[1.46-6.12])、骨粗鬆症はサルコペニア発生の危険因子であることを明らかにし論文報告した(Osteoporos Int 28:189-199, 2017)。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通り、一般住民集団の疫学調査に基づいて作成したデータベース解析により、脊椎疾患をはじめとする運動器疾患、運動器障害、併存疾患に関する疫学研究成果をあげて、学会報告及び論文報告を行った。
当初の計画に従い、地域住民コホートの疫学調査を実施して収集したデータのデータベース化を行って解析し、運動器疾患、運動器障害、併存疾患に関する疫学的知見を明らかにし、学会発表や論文報告の形で成果を報告し、情報発信していく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件)
Osteoporos Int
巻: 28 ページ: 189-199
10.1007/s00198-016-3823-0
Mod Rheumatol
巻: 26 ページ: 767-773
10.3109/14397595.2015.1130673
PLoS One
巻: 11 ページ: e0160002
10.1371/journal.pone.0160002
巻: 11 ページ: e0160111
10.1371/journal.pone.0160111