研究課題
本研究課題では、変形性関節症への応用を目標に、低分子化合物を用いたヒトiPS細胞を用いた軟骨細胞の誘導法の開発を行ってきた。様々なスクリーニングの結果、初期分化にはWNTシグナルに関連する物質Xを用いた。Xの濃度と作用させる日数を詳細に検討し、中胚葉分化に至る最適条件を絞り込んだ。中胚葉分化から軟骨分化を誘導する因子として、こちらも様々な化合物を検討し、物質Yを選んだ。Yを開始するタイミング、使用する濃度、培養日数についても詳細に検討し、フィーダーフリーで未分化の状態に維持したヒトiPS細胞から軟骨細胞マーカーであるSOX9、COL2A1が著明に上昇するまで5日間、さらにCOL11A2などの成熟軟骨マーカーが上昇するまで9日間、というプロトコールを確立することに成功した。詳細な条件は今後発表される論文を参照されたい。たった2種類の化合物を用いてヒトiPS細胞から軟骨細胞を分化誘導することから、この方法をtwo compounds (2C)法と命名した。この2C法は、従来の7-9種類のサイトカインを用いる方法と比べて、軟骨細胞分化誘導に有する期間が短かった。またフローサイトメトリーを用いて解析したところ、サイトカイン法ではどうしても分化し損ねたNanog陽性の未分化細胞がごく少数混じってしまうのに対し、2C 法では0%と、極めて優れた分化誘導法であることが分かった。今後はこの分化誘導法を用いた軟骨再生医療の技術開発のほか、軟骨がどのように誘導されるのかを調べるツールとしても活用していく計画である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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