研究課題/領域番号 |
26293332
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大川 淳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30251507)
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研究分担者 |
麻生 義則 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50345279)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Sirt6 |
研究実績の概要 |
NAD (nicotinamide adenine dinucleotide)は,水溶性ビタミンであるニコチン酸,ニコチンアミドを前駆体として我々の体内で生合成され,酸化還元酵素の補酵素としてエネルギー獲得に重要な役割を有する。NAD を利用した様々な生化学反応が,種々の細胞イベ ントにおいて重要であることが報告されつつあるが、サーチュイン遺伝子による代謝制御はその代表的なものである。今井らは、NADによってコントロールされる全身性の代謝、老化の制御機構を「NAD」ワールドと名付けた。本研究ではNADワールドによる骨軟骨老化の制御機構を明らかにする。本年度には、Sirt6floxマウスを用いて、骨芽細胞特異的、骨細胞特異的、間葉系細胞特異的にSirt6を欠損するマウスの組織評価を行った。その結果、コントロールと比較し、これらの骨組織には特有の表現型が認められた。骨組織から採取したmRNAを解析したところ、骨代謝に重要な因子Xが著明に減少していた。骨芽細胞、破骨細胞初代培養系を用いて、サーチュインの標的因子の評価を行うと共に、因子Xのプロモーターアッセイを行っている。また、Sirt6欠損マウスは早期老化症の表現型を呈して1ヶ月程度で死亡するが、ある遺伝子Y改変マウスとの交差により、有意に寿命を延長させることが明らかになった。現在、メカニズムを解析中である。またYの低分子阻害剤を投与して寿命に対する影響を評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨代謝におけるSirt6の標的を絞りつつある。またSirt6欠損マウスの寿命を延長させる因子を同定できたことで、将来的に抗老化剤を開発するための重要な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
分子生物学的手法により骨代謝におけるSirt61の標的を明らかとする。また、因子YがSirt6欠損マウスの寿命を延長させるメカニズムを解明するとともに、Yの低分子阻害剤がSirt6欠損マウスの寿命を延長させることができれば、その応用を広げる。たとえば、軟骨特異的Sirt6欠損マウスは変形性膝関節症を呈するが、このマウスにY阻害剤を投与することにより関節表現型のレスキューを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通り補助金を使用してきたが、極少量が残った。これは軽微な誤差である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はごく少量であり、試薬など消耗品の購入に充当する。
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