研究実績の概要 |
【腫瘍特異的バクテリア治療】 カリフォルニア大学サンディエゴ校で樹立したA1-Rを用いた。腫瘍モデルとして、乳癌骨転移モデル、軟部肉腫モデルを作成した。乳癌骨転移モデルにはMDA-MB-435を用いた。GFPで標識したMDSA435細胞をヌードマウスの左心室に注射し、骨転移巣からGFP発現細胞を回収、培養して再び左心室に注射するというサイクルを繰り返すことにより高転移株を得た。MDA435高転移株をヌードマウスに注射し、A1-Rで治療をしたところ、転移巣の形成が有意に抑制された。また、MDA435を脛骨に直接注射することにより得られた腫瘍に対し、A1-Rで治療したところ、腫瘍の成長が治療群で有意に低下した(Miwa, etl al. Oncotarget 5: 7119-25, 2014)。ヒト線維肉腫HT1080をヌードマウスの大腿四頭筋に注射することにより軟部肉腫モデルを作成、HT1080をヌードマウスの尾静脈に注射することにより肺転移モデルを作成した。これらのモデルに対してA1-Rで治療したところ、原発モデル、転移モデルのいずれにも抑制効果が見られた(Miwa, et al. Oncotarget 5: 12849-61, 2014)。以上のことから、A1-Rは腫瘍に対する新しい治療として期待できるものと考えた。 【蛍光ガイド下手術】 RFPで標識したヒト骨肉腫細胞株143B、GFPで標識したヒト前立腺癌細胞株PC-3をヌードマウスの脛骨に注射することにより骨肉腫モデル、骨転移モデルを作成した。腫瘍を肉眼で辺縁切除術を行ったグループと、蛍光イメージング装置で蛍光を確認しながら切除術を行ったグループにおける遺残腫瘍、腫瘍の再発率、再発腫瘍の蛍光を比較した。いずれの腫瘍モデルにおいても、FGSは有意に遺残腫瘍、腫瘍の再発を抑制した(Miwa, et al. J Orthop Res 32: 1596-601, 2014; 19.Miwa, et al. J Surg Res 192: 124-33, 2014)。このことから、FGSは腫瘍の確実な腫瘍切除に有用であると考えた。
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