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2014 年度 実績報告書

iPS細胞による次世代骨・軟骨再生療法のための培養誘導技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26293336
研究機関大阪大学

研究代表者

吉川 秀樹  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191558)

研究分担者 名井 陽  大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
中田 研  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00283747)
中村 憲正  大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 招聘教授 (50273719)
梅澤 明弘  独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 副所長/再生医療センター長 (70213486)
福田 寛二  近畿大学, 医学部, 教授 (50201744)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードiPS細胞 / 再生療法 / 骨 / 軟骨 / 培養誘導
研究実績の概要

大型骨・軟骨欠損を対象とした画期的な次世代再生療法の開発のためには、iPS細胞による培養誘導技術を確立する必要がある。我々は、まず動物細胞を用いて、iPS細胞から間葉系前駆細胞へ分化誘導する培養環境条件の最適化を行い、高効率な誘導条件を決定するに至った。
具体的には、EB形成を経ずに平面培養のみにより、無血清培地にて6種類のサイトカインと2種類の低分子化合物による段階的な培養誘導であり、2種類の異なる表面処理が施された培養皿の使用に加え、5%酸素濃度下で低酸素培養を段階的に併用する独自の分化誘導法を確立した。また、間葉系前駆細胞作製のためのさらなる効率化を目指し、マイクロアレイおよび次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子発現解析、トランスクリプトーム解析を行い、分化誘導法の評価のみならず新規の分化誘導候補因子の解析を行ってきた。
現在、バイオインフォマティクスを駆使した新規候補因子の絞り込み、因子同定も同時に進めており、分化誘導培養および作製細胞に関する種々の評価法が整ったところである。また、ヒトiPS細胞への応用を考慮し、サイトカインを使用せず低分子化合物のみによる新たな分化誘導法について、マトリックスコーティングおよび低温プラズマ照射など、培養皿の各種表面処理を併用し最適化を行っている。さらに、iPS細胞から作製した間葉系前駆細胞の組織再生能と安全性を評価するため、NOGマウスやヌードマウスを用いて実験動物への細胞移植を行い、骨組織再生能および造腫瘍性試験法の評価法確立を行い、移植した作製細胞ごとに実施を重ねている。
今年度の成果概要としては、①動物iPS細胞の間葉系前駆細胞への分化誘導条件の最適化、②間葉系前駆細胞の培養誘導に関する純化、増幅法の確立、③新規分化誘導因子の候補絞り込み、④作製した間葉系前駆細胞の骨再生能および安全性に関する評価法の確立、などを達成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、まず動物細胞を用いて、EB形成を経ずに平面培養によりiPS細胞から間葉系前駆細胞を大量に作製するために必要となる高効率な培養誘導法の最適化を中心に実施した。今年度の成果としては、①iPS細胞の間葉系前駆細胞への分化誘導法の確立、②間葉系前駆細胞の純化、増幅法の確立、③新規分化誘導因子の候補絞り込み、④作製した間葉系前駆細胞の評価法の確立、など4項目を達成することができた。
培養誘導に関する基本的なプロトコールの確立はほぼ完了しており、さらなる培養誘導の効率化を目指した分化誘導法の検証、新規候補因子の同定および造腫瘍性試験など、安全性の評価も現在進行中である。
最終的な評価法などについては、現在検証を進めているところであり、今年度の成果概要として挙げた上記の項目について、ほぼ予定した通り実施、達成できている。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、確立したプロトコールに基づき、動物iPS細胞から作製した間葉系前駆細胞のみならず、ヒトiPS細胞由来間葉系前駆細胞の作製も並行して最適化を進める。また、間葉系前駆細胞から軟骨細胞および骨芽細胞の三次元組織化のための作製技術の最適化を進める。三次元軟骨組織とハイドロキシアパタイトを用いた培養人工骨の力学刺激培養装置によるハイブリッド組織化する技術を中心に検討を実施する。さらに、動物細胞だけでなくヒトiPS細胞からの三次元組織化法についても検討を進め、実験動物への組織移植の準備を行う予定である。
今年度の具体的な方針としては、昨年度進めてきたiPS細胞から間葉系前駆細胞への分化誘導のさらなる高率化に必要な新規分化誘導因子の同定について、網羅的遺伝子発現解析およびトランスクリプトーム解析を行い、新規候補因子に関する機能解析、マーカーとしての有効性などを評価する。iPS細胞由来間葉系前駆細胞の安全性評価については、間葉系前駆細胞を作製する際に遺伝子発現解析、造腫瘍性試験および染色体異常の検出を行う。これらに加え、確立した間葉系前駆細胞の作製技術のヒトiPS細胞への応用を開始し、三次元骨軟骨組織化の作製技術を確立する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度予定していた網羅的遺伝子発現解析は、大阪大学微生物病研究所からの研究協力が得られ、学内で実施することが可能となった。このためマイクロアレイ解析費用が予定より安価で実施することでき、次年度にもマイクロアレイおよび次世代シーケンサーによる解析が実施可能となる繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

今年度は、昨年に引き続き、誘導作製した動物細胞およびヒト細胞のマーカー解析と安全性評価のために遺伝子発現解析を行う必要がある。マイクロアレイ解析による網羅的遺伝子発現解析の実施に加え、次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム解析を実施するための費用して、昨年度の繰越金を含めた助成額を今年度使用額として交付申請している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] IL-6 negatively regulates osteoblast differentiation through the SHP2/MEK2 and SHP2/Akt2 pathways in vitro2014

    • 著者名/発表者名
      Kaneshiro, S., Ebina, K., Shi, K., Higuchi, C., Hirao, M., Okamoto, M., Koizumi, K., Morimoto, T., Yoshikawa, H., Hashimoto, J.
    • 雑誌名

      Journal of Bone and Mineral Metabolism

      巻: 32 ページ: 378~392

    • DOI

      10.1007/s00774-013-0514-1

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Cyp26b1 within the growth plate regulates bone growth in juvenile mice2014

    • 著者名/発表者名
      Minegishi, Y., Sakai, Y., Yahara, Y., Akiyama, H., Yoshikawa, H., Hosokawa, K., Tsumaki, N
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 454 ページ: 12~18

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.10.001

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Cyclic compressive loading on 3D tissue of human synovial fibroblasts upregulates prostaglandin E2 via Cox-2 production without IL-1β and TNFα2014

    • 著者名/発表者名
      Shimomura, K., Kanamoto, T., Kita, K., Akamine, Y., Nakamura, N., Mae, T., Yoshikawa, H., Nakamura, N
    • 雑誌名

      Bone and Joint Research

      巻: 3 ページ: 280~288

    • DOI

      10.1302/2046-3758.39.2000287

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Osteochondral repair using a scaffold-free tissue-engineered construct derived from synovial mesenchymal stem cells and a hydroxyapatite-based artificial bone2014

    • 著者名/発表者名
      Shimomura, K., Moriguchi, Y., Ando, W., Nansai, R., Fujie, H., Hart, D.A., Gobbi, A., Kita, K., Horibe, S., Shino, K., Yoshikawa, H., Nakamura, N
    • 雑誌名

      Tissue Engineering

      巻: 20A ページ: 2291~2304

    • DOI

      10.1089/ten.tea.2013.0414.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Osteochondral tissue engineering with biphasic scaffold: Current strategies and techniques2014

    • 著者名/発表者名
      Shimomura, K., Moriguchi, Y., Murawski, C.D., Yoshikawa, H., Nakamura, N
    • 雑誌名

      Tissue Engineering

      巻: 20B ページ: 468~476

    • DOI

      10.1089/ten.TEB.2013.0543.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Optimization of culture conditions for directing osteogenesis differentiation of mouse induced pluripotent stem cells2015

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Miyamoto, Akira Myoui, Daisuke Okuzaki, Naohisa Goto, Satoshi Hamaguchi, Hideki Yoshikawa
    • 学会等名
      International Society for Stem Cell Research, 2015 Annual Meeting
    • 発表場所
      Stockholm, Sweden
    • 年月日
      2015-06-24 – 2015-06-26
  • [学会発表] Plasma Surface Modification of Cell Culture Plates2014

    • 著者名/発表者名
      Dai Itsuki, Satoshi Sugimoto, Satoshi Miyamoto, Akira Myoui, Hideki Yoshikawa, Satoshi Hamaguchi
    • 学会等名
      International symposium on non-equilibrium plasma and complex-system sciences
    • 発表場所
      Bochum, Germany
    • 年月日
      2014-09-30 – 2014-10-02
  • [学会発表] 細胞培養プレートのプラズマ表面処理2014

    • 著者名/発表者名
      斉宮大,杉本敏司,宮本諭, 名井陽, 吉川秀樹, 浜口 智志
    • 学会等名
      応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-20
  • [学会発表] Modification of hydroxyapatite and polystyrene surface for cell culture by low-pressure plasmas2014

    • 著者名/発表者名
      Dai Itsuki, Tomoko Ito, Satoshi Sugimoto, Yu Moriguchi, Satoshi Miyamoto, Akira Myoui, Hideki Yoshikawa, Satoshi Hamaguchi
    • 学会等名
      International Conference on Plasma Medicine
    • 発表場所
      Nara, Japan
    • 年月日
      2014-05-18 – 2014-05-23
  • [学会発表] Biological Effect of Plasma Processing on Ceramics Artificial Bone2014

    • 著者名/発表者名
      Akira Myoui
    • 学会等名
      International Conference on Plasma Medicine
    • 発表場所
      Nara, Japan
    • 年月日
      2014-05-18 – 2014-05-23
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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