研究課題
本研究の目的は、従来から行われている間葉系幹細胞による骨芽細胞の作製に頼らない、無限の増殖能と分化能を合わせ持つiPS細胞から間葉系前駆細胞へ分化誘導し、より多くの骨芽細胞系細胞を細胞源とする三次元組織化を目指した次世代骨・軟骨の再生療法の確立である。本研究ではiPS細胞から間葉系前駆細胞への分化誘導を行い、培養人工骨作製技術の最適化を行った。主な内容としては、①iPS細胞由来間葉系前駆細胞への分化誘導法の最適化、②間葉系前駆細胞から作製した骨芽細胞系細胞の特性解析、③実験動物への培養人工骨移植による骨再生能および造腫瘍性の評価などである。iPS細胞由来の間葉系前駆細胞、骨芽細胞系細胞への分化誘導法の最適化については、6種類のサイトカインと2種類の化合物の濃度と添加時期を組み合わせた基礎的検討に加え、初期の分化誘導過程に沿った二段階の低酸素培養法の併用などにより、骨芽細胞系細胞への分化誘導プロトコールの最適化を行った。iPS細胞から分化誘導し作製した骨芽細胞系細胞の特性については、骨髄由来間葉系幹細胞および頭蓋骨由来骨芽細胞に比較して増殖能、遊走能がともに高いだけでなく、著しく高いアルカリフォスファターゼ活性を有しており、分化液性因子の添加にともない基質石灰化が生じることを確認した。また、網羅的な遺伝子発現解析の結果から、HoxbおよびSemaphorin遺伝子がクラスター発現を示すことも特徴の一つであることを見出した。作製した骨芽細胞系細胞による培養人工骨を実験動物に移植した結果、移植時期が早期になる場合、あるいはサイトカイン添加が高濃度の場合には腫瘍化し易いことが判明した。このため移植時期は、分化誘導開始から少なくとも8週~12週以降にすべきであり、ActivinだけでなくBMPにおいても段階的に適切な濃度での添加が必要となることを明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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