研究課題/領域番号 |
26293338
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
廣畑 聡 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90332791)
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研究分担者 |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40252233)
西田 圭一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80284058)
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30335624)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 関節病学 / アグリカナーゼ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は変形性関節炎(OA)の細胞外マトリックス分解に中心的な役割を果たす切断酵素、アグリカナーゼの遺伝子発現制御にかかわるmicroRNAを統合的に解析し、作用メカニズムを明らかにすることで関節破壊への役割を示すことである。
ヒト軟骨肉腫由来細胞株(OUMS-27)を用いた。OUMS-27にサイトカイン刺激(インターロイキン-1(IL-1β) + 腫瘍壊死因子(TNF-アルファ))を行ったところ、アグリカンの分解が促進され、アグリカナーゼ誘導性が確認された。そこで、OUMS-27に二つの異なった刺激(①サイトカイン刺激:インターロイキン-1(IL-1β) + 腫瘍壊死因子(TNF-アルファ)と②メカニカルストレス(ストレックス社製ST-140))を加えて、OUMS-27のRNAを用いてmicroRNA発現のアレイ解析を施行した。異なる二つの刺激により変動するmicroRNAをA~Dまでの4グループと既報のmicroRNAに近い変動パターンを含むEグループの計5つのグループに分類し、それぞれのmicroRNAが標的とするRNAにつき、データベース検索を行った。複数のデータベース解析を行い、重複して出現する候補が最も確率が高いものとして、マークするとともに細胞外マトリックスに関連する分子を標的とするmicroRNAを候補として優先的に選択した。 これらの解析により、標的分子を共通して有するいくつかの候補microRNAを同定することに成功した。これらのmicroRNAのOAに関する役割は既報になく、新規microRNAであることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、ストレス刺激によるmicroRNA発現変化の統合的な解析を実施した。 具体的には、二つのアルゴリズムを用いて、サイトカイン刺激時およびサイトカイン刺激にメカニカルストレス刺激を加えたときの二点において発現変化を来すmicroRNAを網羅的に解析を行った。また、メカニカルストレス単独刺激においても、ストレスの度合いを変化させることで細胞外マトリックス分子およびマトリックス分解酵素であるアグリカナーゼの発現量に違いがみられることが明らかとなったため、伸展率5%と10%で各マトリックス分子およびアグリカナーゼの発現がどの様に変化するのか定量的リアルタイムPCR法で明らかにした。 これらの成果は国内・国外学会において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果から、ターゲットとなるRNAに対して働く候補microRNAが複数同定されてきたので、まずはターゲットRNAがサイトカイン単独刺激と、サイトカインにメカニカルストレス刺激を追加した場合で発現がどの様に変化するかを検討する。microRNAが作用するとタンパクに翻訳されることなく分解してしまうと考えられるので、発現量をRNAレベルのみならずタンパクレベルでも検討を行う。すなわち、ウエスタンブロッティングにて検討することを計画している。次に、候補microRNAのうち、いくつかのものに着目し、ルシフェラーゼベクターに組み込み刺激によるプロモーター活性を検討する。さらに、候補microRNAに対するRNA干渉法をおこなうべく実験系を構築する。
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